動物の犠牲を増やさないために、動物保護団体ができることとは

コロナ禍で在宅時間が増え、ペットを飼う方が多いと聞きます。でも、中には飼いきれず、捨ててしまう人も。自治体では、殺処分ゼロへの取り組みが実施され、数は減っています。しかし、背景には、愛護団体やボランティアが引き取る数が増加したことで、保健所の引き取り数が減ったという実態も。今回は、人と動物がともに生きる社会の実現に尽力する方々にお話をうかがいました。

動物保護団体の立場から

友森玲子さん(45歳・東京都在住) NPO法人ランコントレ・ミグノン代表、株式会社ミグノンプラン代表

時代の流れや変化と向き合い保護団体のあり方を変えていく必要があります。
〝いつも犠牲になるのは動物です〟

動物看護師として働いていた友森玲子さんは、25歳のときに独立しペットのトリミングサロンを開業しました。開業から5年後には開業資金を返済し、余裕ができた友森さんは、動物の保護活動を始めます。「きっかけは、サロンの看板犬を飼おうと保護犬について調べたことです。当時の東京都の殺処分数の多さに驚きました。1頭引き取るだけでいいのだろうか、自己満足で終わるのではないかと悩み、小規模で保護活動を始めました」。その後、サロンを移転するタイミングで、規模を拡大することになります。「保護動物は治療が必要なケースが多いのですが、保護動物だからとグレードの低い治療になってしまったり、手術資金などのコスト面から、十分な医療を受けられないことがありました。そこで、医療面を充実させるため、動物病院を開業することにしました。また、保護活動には多くの資金が必要です。動物病院やサロン、通販での収入が、保護活動を支えています」。

一時は年間300頭以上もの動物を保護していた友森さん。数年前の東京都は、年間1、000頭以上の動物が殺処分されていました。「目の前の殺処分を減らしているうちに状況が変わると思い、とにかく多くの動物を保護していました」。現在団体で保護している動物は約150頭。友森さんが50歳になる頃までに、保護数を徐々に減らす予定です。「事業を引き継いでくれる後継者を育てることも視野に入れつつ、私が病気や高齢になったときのことも考えています」。友森さんは保護活動のあり方について、先のことも見据えています。「東京都はここ数年で殺処分がゼロになりました。動物の飼育に対して人の意識も少しずつ変わってきています。将来的には保護動物はもっと減るのではと考えています。大量に保護して譲渡をするという活動が古くなるかもしれません。その代わりに、動物と人間の共生の仕方や、飼い主の教育が重要になってくるはずです」。友森さんは時代の流れや変化と向き合い、保護団体のあり方も変えていく必要があるといいます。「近年では、フリマアプリで譲渡が行われていることもあります。アプリでもらった犬が重い疾患を持ったので引き取ってほしい、という相談もきています。たらい回しをされて辛い生涯を送るのは、動物です。保護活動は大変なこともありますが、動物といるとストレスも解消され、何よりも楽しいですね。私にとっての一番の趣味であり、人生をかけてやりたいことなんです」。

    「 犬や猫、うさぎだけではなく、アヒルやフェレットなど珍しい動物も保護しています」。〝きくち浮子さん〟と名付けられた人懐っこいアヒルは、日光浴と行水が日課。ユニークな名前は友森さんが命名。
    ミグノンプランが主催する「いぬねこなかまフェス」は今年で8回目。オンライン開催となった今回も小泉今日子さんや浅田美代子さんなど、豪華ゲストが集まりました。

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撮影/BOCO 取材/星 花絵 ※情報は2021年11月号掲載時のものです。

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