ファスティングとは? 初心者が知っておきたい正しい方法と準備・注意点を解説
ダイエットの一環として、ファスティング(断食)に挑戦してみたい人もいるでしょう。
しかし、ファスティングとは具体的にどのようなものか、何を飲食してよいのかなど、わからないことはたくさんあるかもしれません。
そこで今回は、ファスティングが体に与える影響と、数日間で挑戦できる「プチ断食」の方法を紹介します。
間違った方法でファスティングすると、リバウンドの可能性があります。正しい方法で無理のないように行いましょう!
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ファスティングとはどのようなもの?
ファスティングとは、英語のFast(断食する)が由来で、宗教上の行事や修行の一環として行われていた断食のことです。
今はダイエットや美肌効果、アンチエイジングなど美容効果を目的として注目を集めています。
注意点としては、ファスティングは断食であって、まったく栄養を摂らない絶食とは異なること。
ファスティングは、専用のドリンクで必要な栄養素と、最低限のカロリーを補いながら行います。
ファスティングをすると体にどのような影響が出る?
ファスティングでは、美肌やダイエット効果を期待する女性は多いでしょう。
肌などによい影響を与える理由は、体の中でさまざまな変化が起こっているからです。
ここでは、ファスティングによる具体的な影響を見ていきましょう。
①消化器官の休息と腸内環境のリセット
ファスティングで固形物を摂らない期間は、胃や腸など消化に関わる内臓を休ませることができます。
食べ物によっては、消化に何時間もかかるものがあります。
消化されていない状態で次の食べ物が入ると、内臓は休む間もなく働き続けて疲れてしまうのです。
ファスティングでは一度内臓を休ませて、本来の状態にリセットできます。
腸内の悪玉菌を優勢にするものを食べないことで、腸内環境の改善も期待できるでしょう。
②体内にある酵素の働きを促進させる
ファスティングをするうえで知っておきたいことが「酵素」です。
酵素にはさまざまな種類があります。そのなかでも、人間の体内にある酵素のひとつ「代謝酵素」は、以下のような働きに関わります。
・デトックス
・新陳代謝
食べすぎや内臓に負担のかかる消化しづらいものを食べることによって、代謝酵素の作られる量が減ってしまいます。
ファスティングを行うことで、代謝酵素をより多く作れる体になるのです。
③内臓脂肪燃焼
人間の体を動かすエネルギー源には、炭水化物(糖質)、脂質、タンパク質があります。このなかで最初に使われるエネルギー源は糖質です。
通常、使われなかった糖質の一部はグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられ、余ったグリコーゲンは脂肪となり脂肪細胞に溜め込まれます。
ファスティングで糖質を摂取しなくなると、エネルギーを作り出すために肝臓内のグリコーゲンを使います。
グリコーゲンを使い切ると、次のエネルギー源である脂肪が使われるのです。
内臓脂肪は、皮下脂肪より先に燃焼されるといわれています。そのため、定期的な1〜2日のプチ断食期でもダイエット効果が期待できます。
ファスティングに挑戦する前に知っておきたい注意点
さまざまな影響が期待できるファスティングには、やってはいけない人や方法などいくつかの注意点があります。
ファスティングを挑戦する前に、、人によっては体調不良を起こす可能性を理解しておきましょう。
このような人はファスティングをやってはいけない
短期間のファスティングでも、体に負担をかける可能性があります。
以下に当てはまる人は、ファスティングは控えてください。
・内臓や血管の疾患など、過去に病気をしたことがある方
・通院中、服薬中の方
・服薬中で投薬の中断が危険になる方
・過去に脳卒中や心筋梗塞を起こした方
・中学生(15歳)以下の方
・妊娠中、授乳中の方
上記やそのほか心身で不安がある方は、必ず医師に相談をしたうえでファスティングを行ってください。
栄養を摂らない絶食はNG!
ファスティングとは断食であり、まったく栄養を摂らない絶食ではありません。
食べ物を摂らない間に、最低限必要なカロリーと栄養を専用のドリンクなどで補う必要があります。
また、水だけを飲んで過ごす水断食は、必要な栄養やカロリーを摂らない一種のファスティング法です。
ただし、栄養失調状態で骨や筋肉も弱くなり、体調不良やリバウンドの原因になりかねないため、水断食は行ってはいけません。
ファスティングでは一時的に体調が悪くなることもある
不定愁訴や好転反応として、頭痛、眠気、めまい、倦怠感、吐き気、寒気、胃痛、喉の痛み、便秘といった症状が出る可能性があります。
長期的なファスティングでは、体調が一時的にひどくなるケースがあり、これを好転反応といいます。
不定愁訴の原因はさまざまであり、次に紹介する「準備期」をきちんと過ごすことで回避できます。
生理中でも、ファスティングは可能です。しかし、ふらつきなどを起こしやすくなる可能性があるため、生理が終わってからがよいでしょう。
ファスティング期間、または直後に大切な予定を入れないことがおすすめです。
スケジュールと心に余裕があるとき、ファスティングに挑戦するとよいでしょう。
初心者にもできる正しいファスティングの方法と手順を解説
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ここでは、初心者向けのファスティング方法と手順を紹介します。
休日2日間で挑戦できる、いわゆる「プチ断食」です。
ファスティングの基本的な流れは、準備期・断食期・回復期に分かれます。
①準備期:食べないことに慣らすためのウォーミングアップ期間
②断食期:食べずに過ごす本番
③回復期:少しずつ通常の食事に戻す、ファスティングを成功させるために大事な期間
①【準備期】食事と注意点
ファスティングの準備期間は1日程度です。準備期における食事の基本は「マゴハヤサシイワ」。
マ:豆類、大豆製品(納豆、豆腐、きな粉など)
ゴ:ごまやナッツなどの種子類(クルミ、アーモンドなど)
ハ:発酵食品(納豆、甘酒、ぬか漬け、キムチなど)
ヤ:野菜類(特に色が濃いもの、旬の野菜)
サ:魚(特に小型30cmくらいまでの青背魚、イワシ、サンマ、ちりめんじゃこなど)
シ:キノコ類(椎茸、なめこ、きくらげなど)
イ:いも類(じゃがいも、さつまいも、長いもなど)
ワ:海藻類(ワカメ、昆布、ひじきなど)
ファスティングの準備期間に避けたほうがよい食べ物や嗜好品はこちら。
・アルコール
・カフェイン(コーヒー、緑茶、紅茶など)
・炭酸水(空っぽの胃に刺激が強く、胃痛を起こす可能性あり)
・タバコ
・小麦製品(パン、パスタ、ピザ、うどん、カレーやシチューのルウ)
・精製された白い砂糖(ケーキ、クッキー、和菓子、ジュース類)
・油で調理したもの(揚げ物全般、野菜炒めなど)
・動物性タンパク質(肉、卵、牛乳、ヨーグルトなど)
・添加物が多い食品(ウインナー、ハム、竹輪などの練り物、明太子、菓子パンやスナック菓子、インスタント・冷凍食品、コーヒーミルク、コンビニ弁当などのお総菜、減塩やゼロカロリーのもの、〇〇の素など)
上記の食べ物は、普段から避けたほうがよいでしょう。
体をきれいにするためのファスティングで添加物を摂ると、肝臓に負担がかかってしまうため注意してくださいね。
準備期の食事量は腹6~7分目、夜8時ごろまでに夕食を済ませます。
また、和食中心で薄味のものをよく噛んで食べましょう。就寝時間も早めにしてみてください。
②【断食期】ファスティング最中の過ごし方と注意点
断食をしている期間は、一日2リットルの水分を摂るよう心がけてください。
ファスティングでは、最低限必要な栄養とカロリーを補う専用ドリンク(ファスティングドリンクのみ)を小分けにして飲みましょう。
ドリンクを飲む回数は一日の必要量を5〜6回に分けて、4〜5倍に薄めて飲みます。
タイミングは生活スタイルにもよりますが、いつもの食事時間と、空腹を感じたとき、おやつなどをいつも食べる時間など。
もともと低血糖を起こしやすい方は、もう少し回数を増やして少しずつ飲んだほうがよいでしょう。
また、就寝中の低血糖を防ぐために、睡眠前に原液を約5倍に薄めて少しずつ飲みます。
ほかにも、水道水以外の質のよい水、ノンカフェインのハーブティーなどもおすすめです。
空腹でお腹が鳴り始めたら、ファスティングドリンク、白湯を飲んで空腹を落ち着かせましょう。
断食期は、普段どおり過ごして構いません。運動は常温のヨガや、ウォーキング程度の軽い運動ならOK。ヨガに慣れていないのであれば、無理に行う必要はありません。
■断食期の注意点
・ファスティングをすると低血圧になりやすいため、お風呂は長湯を避ける(半身浴なども脱水症状やふらつきの原因になるので避ける)
・眠気が出やすいため、長距離運転には注意が必要
・トイレに行く回数が極端に増える
ファスティングドリンクの選び方を間違えないこと
ファスティングの最中に飲むドリンクは、以下3つのポイントを押さえたものを選びましょう。
①原材料は有機栽培、無農薬のものを選ぶ。香料・保存料・着色料・甘味料などの添加物が入っているものは避ける。
②原液100%のものを選ぶ。
※ネットやドラッグストアで売られているもののなかには、ジュースなどで薄めているものがある
③充分に発酵・熟成されて、白い砂糖の主成分であるショ糖が検出されないものを選ぶ。
※「有機栽培・無農薬」「保存料、着色料不使用」「原液100%」でも熟成期間が短いとショ糖が充分に分解されず残っている可能性が高い。
ドリンクの成分で不安があるときは、メーカーに問い合わせてみてもよいでしょう。
③【回復期】ファスティング後の注意点
ファスティングの回復期は2日間前後、ファスティングした日数分をとることが理想的です。
体が空っぽの状態から元の食事に戻していくため、急にしっかり食事をすると体に負担がかかり、リバウンドの原因になります。
ファスティングを終えて最初に口にするものは、腸内環境を悪化させない食べ物にしましょう。
旬の野菜や果物のスムージー、重湯(おかゆの上澄みのみ、固形物は食べない)がおすすめです。
2食目以降は少しずつ固形物を食べますが、よく噛むこと、少量にすることを心がけましょう。
ファスティングドリンクが残っていれば、血糖値を安定させるためにも間食として少しずつ飲んでもOK。
プチ断食がダイエット目的であれば、“準備期に避けたい食べ物”を摂るタイミングは、回復期が終わってからがよいでしょう。
ファスティングを失敗しないコツ
大切な休日を使ったり、専用のドリンクを買ったりするのであれば、できるだけ失敗したくないですよね。
ここでは、ファスティングを失敗しないための3つのコツを紹介します。
準備期・回復期をしっかり取ること
ファスティング前後は、甘いものや嗜好品を摂らずに過ごしますが、これらを毎日口にしないと落ち着かない人もいるでしょう。
ファスティング中に体調不良を起こさないためにも、本番の数日前から少しずつ嗜好品を控えると、準備期・回復期の食べすぎを防ぎやすくなります。
またファスティングで味覚が冴えるため、回復食の味付けは薄味で充分です。
普段の味付けにすると、食欲が増して食べすぎの原因になりかねません。
ファスティングで体調不良になったときの対処法
ファスティングにおける体調不良の原因はさまざま。なかでも、頭痛を起こす人が多いとされています。
頭痛が起きたとき、まずはミネラル塩や無添加の梅干し、薄味のだしなどを少し摂ってみてください。ファスティングドリンクを、かなり薄めて少しずつ飲んでもOKです。
頭痛は、普段から濃い味付けのものを食べている、コーヒーをよく飲んでいる人に起こりやすいとされています。また、低血糖を起こしても頭痛が起きやすくなります。
ほかにも、普段の食事の時間に胃袋に何も入らないことで、胃酸が分泌されて胃痛を起こす人もいます。胃痛は、ファスティングドリンクを薄めて飲むと改善されるケースが多いです。
症状が長引くようであれば、ファスティングの専門家や主治医に相談しましょう。
【まとめ】準備期・回復期がファスティングを成功させるポイント!
ファスティングとは専用のドリンクを飲みながら断食を行うことで、水だけを飲む、何も口にしない絶食とは異なることがわかりました。
専用のドリンクを飲むだけではなく、ファスティング本番の前後にも期間を設けて、適切な準備と回復する時間を過ごします。
普段、お菓子やファストフードなどを好んで食べている人によって、食事量を減らす、薄味のものしか食べられないことはつらいかもしれません。
正しいファスティングの方法を理解して、定期的に心身のリセット期間を作ってみてはいかがでしょうか?
教えてくれたのは……フィットネスインストラクター 秀珠(すず)さん
(一般社団法人分子整合医学美容食育協会)
ファスティングマイスター学院福岡城南支部長
健康美容食育士
studio KASANE主宰
20年のフィットネスインストラクターとしてのキャリアの中で自身の体調不良から食と運動、心と身体のつながりの重要性に改めて気づかされ食育・ファスティング・運動を軸にした隠れ家的スタジオKASANEをオープン。ファスティング指導のほか「大人の食育講座」「離乳食講座」などをオンラインで開催中。
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Text_Ayumi