桜井玲香さん初主演映画『シノノメ色の週末』撮影秘話!「撮影期間がたった8日間で相談の連続でした」
きっとCLASSY.読者の皆さんにも多いであろう〝女子校育ち〟。友情、恋愛、そして生き方や考え方…その後の人生にも影響を与えているはずのあの頃を、振り返ったことはありますか?CLASSY.モデルでもある桜井玲香さんが主演する映画『シノノメ色の週末』は、そんな女子校出身者3人組の物語。メガホンを取った穐山監督も玲香さんも女子校出身ということで、大人になった今思うことを語ってもらいました。
『シノノメ色の週末』が描く青春が私たちに問いかけることーー
アラサー世代の〝もどかしさ〞を女性目線でリアルに描きたかった
――女子校をテーマに描こうと思ったきっかけを教えてください
穐山監督:前作の『蒲田前奏曲』内の『呑川ラプソディ』という短編映画で女子校出身の人たちが女子会をする作品を撮ったのですが、そのときは単純な会話劇だったので、次はもっと女子校出身者のリアルな雰囲気を撮りたいと思ったのが最初のきっかけですね。フィクション度の高いギスギスや男の取り合いなどではなく、女子同士にしかない不思議な関係性を出したくて、リアリティを追求しました。私自身女子校出身で、特に体験談を入れ込んだりはしなかったのですが、撮影が始まると桜井さん、岡崎紗絵さん、三戸なつめさんの3人が自然とわちゃわちゃ楽しく過ごしてくれたので、よりリアルな空気感を撮れました。
桜井さん:ところどころアドリブも入れましたよね。お二人ともふわっと柔らかい雰囲気の方だったので、私もすんなり馴染めて、3人の会話のシーンを自然に演じることができたと思います。
――最初に脚本を読んだときの感想は?
桜井さん:「わ〜タイムカプセルを掘り起こすんだ〜」と思いました(笑)。今はなかなかないことなのかな?私は全然覚えていなかったんですけど、小学生のときに地元のイベントでタイムカプセルを埋めていたらしく、去年近所の子供たちが実家に届けてくれたんです! 中には自分宛ての手紙が入っていて、“こういう(今しているような)お仕事がしたい”って書いてありました。
穐山監督:子供の頃に書いたものって、内容なんてすっかり忘れているんだけど、大人になってから見返すと結構ハッとしますよね。
桜井さん:そう! ハッとして、ワクワクよりも、見るのがちょっと怖かったくらいです(笑)。
――桜井さん演じる美玲はどんなキャラクターですか?
穐山監督:なんとなく自分の学校にいた目立つタイプのコの名前を引っ張ってきたのですが、いつもクラスの中心にいて、みんなから憧れられる存在ですね。
桜井さん:私とは真逆なタイプで、学生時代はこういうコに憧れていたので、演じられてうれしかったです。それこそ私の学生時代の憧れは、実は高校の2つ上の先輩だった堀田 茜さん。ダンス部でキラキラしていて、みんなで「めっちゃ可愛い〜!」って騒いでました。
穐山監督:ちなみに、桜井さんは何部だったの?
桜井さん:私は華道部でした! 母がフラワーアレンジメントの先生をしていたのもあり、あとはお菓子がもらえるっていうのに釣られて…(笑)
――桜井さんに会って、美玲のキャラクター像に変化はありましたか?
穐山監督:美玲は、もっとツンツンしたコをイメージしていたのですが、桜井さんが演じることでもう少し同級生にいそうな等身大の雰囲気が生まれ、したたかなのにほどよくマイルドで、繊細なキャラクターに変わっていったと思います。
「3人の微妙な関係性や雰囲気…女子だからこそ感じ取れるものがギュッと詰まった映画です」桜井さん
――撮影中大変だったことは?
桜井さん:撮影期間がたった8日間だったので、美玲というキャラクターを自分に落とし込む時間が短かったことが一番大変でした。監督に「分からない」と口癖のように言ってはたくさん相談しました。美玲をあまりキツい感じにしたくないなって思っていたんです。嫌われるキャラクターにはなってほしくないと思いつつ、誤解されやすい部分が多い性格のコでもあるので、そこのバランスを表現するのは難しかったです。
穐山監督:最初の頃は手探りで進めている感じがありましたけど、馴染むのが本当に早くて、桜井さんはよく「不安だ不安だ」って言ってましたけど、どんどん美玲になっていく過程を見ていたので、全然大丈夫じゃん! って思ってましたよ。
桜井さん:ちょうど『シノノメ色の週末』を撮る前に舞台の仕事をしていたのですが、そのとき演じていた役が、我が強くて感情をワーッと前に出すタイプだったので、そこからグッと引いた繊細さを出すのは難しかったです。引きすぎると、ちゃんと感情出ていますか!?って不安になることもありました。
穐山監督:映像は顔に寄って表情の細かい動きまでしっかり見せられますけど、舞台の広さの中で表現するのとは全く違うと思うので、そこは調整がとても大変でしたよね。
桜井さん:おかげでめちゃくちゃ勉強になりました!
「人生の不安や葛藤、そしてもどかしさ…。それを踏まえて前に進む彼女たちの姿に共感してもらえるはず」穐山監督
――では最後に、映画の見所や伝えたいメッセージをお願いします。
穐山監督:若くして何者かになっている周りの人と、まだ何者にもなれていない自分。そのギャップから生まれるもどかしさって、誰しも一度は感じることだと思うんです。仕事や恋愛、今後の自分はどうなっていくのかという不安…そんな人生の分岐点に立つ人たちの気持ちを表現したいと思って作った映画です。ちょうどクラッシィ世代の皆さんには思い当たる節があるはずですし、それを越えた方ならそんなこともあったなと振り返れるし、まだ青春時代にいる人たちにとっては、違う切り口の青春映画として楽しんでもらえると思います。今、少し立ち止まってしまっている人たちにとって、この映画が前向きに進んでいくきっかけになるとうれしいです。
桜井さん:3人のリアルだけど微妙な、ちょっと不思議な関係性は、女子だからこそ共感してもらえる部分だと思います。ぜひクラッシィ読者の皆さんに観ていただきたいですし、観終わった後は学生時代のことを思い出して絶対に話が止まらなくなると思うので、そういう楽しみ方もしてもらいたいなと思います!
祝・映画初主演!桜井玲香さん 撮影はどうだった?
色々と考えていたらあっという間に撮影が終わってしまいましたが、初主演作がシノノメでよかったと思うくらい、たくさんの人に助けてもらいながら、みんなで力を合わせて作り上げました!この先もずっと思い出に残る大事な作品になりましたし、支えてくださった方々にとても感謝しています。
Profile
女優/モデル 桜井玲香さん
1994年5月16日生まれ。中・高と女子校出身。アイドルグループ乃木坂46の元メンバーおよび初代キャプテン。卒業後は数々のミュージカルや映画・ドラマに出演し、また『CLASSY.』のレギュラーモデルを務めるなど、幅広く活躍中。
衣装/カーディガン¥68,200(ドローイング ナンバーズ/ドローイング ナンバーズ 新宿店)キャミソール¥12,100(ガリャルダガランテ/ガリャルダガランテ 表参道店)スカート¥35,200(デパリエ/ビギ DÉPAREILLÉ)ネックレス¥69,300ピアス¥58,300(ウノアエレ/ウノアエレ ジャパン)靴¥57,200(ペリーコ/アマン)
映画監督 穐山茉由さん
中・高・大と女子校出身。ファッション業界で会社員として働きながら、映画学校にて映画制作を学ぶ。2018年に長編デビュー作『月極オトコトモダチ』が第31回東京国際映画祭に出品され、長編部門グランプリほか4冠を受賞。
衣装/ワンピース¥39,600 カーディガン¥44,000 靴¥31,900(すべてケイト・スペード ニューヨーク/ケイト・スペード カスタマーサービス)ブラウス/私物
映画『シノノメ色の週末』
数々の舞台で観客を魅了してきた桜井玲香が、ついに映画初主演。女子校を卒業して10年、取り壊しになる母校にタイムカプセルを探しに行くため再会した3人。青春のおかしくて切ないリアル感、仕事での葛藤、人間関係の悩み…ちょっと立ち止まっている「あなた」の物語。11月5日(金)全国公開。
shinonome-weekend.com
撮影/川﨑一貴(MOUSTACHE) モデル/桜井玲香 ヘアメーク/高橋里帆 スタイリング/鬼束香奈子 取材/浜田麻衣 再構成/Bravoworks.Inc