【漢字】「文人●客」、●に入る漢字は?意外と知らない四字熟語3選|CLASSY.
CLASSY.ONLINEでは数回にわたり、「日本漢字能力検定(漢字検定)2級」の2020年度に実際に出題された過去問から紹介をしています。2級問題には、毎回「四字熟語」の問題も出題されます。
基本的な出題スタイルは「四字熟語の上か下の二字だけがあらかじめ漢字で提示され、すべて平仮名で書かれた語群から該当する語を選んで漢字に直す。さらに、意味が書かれた文に該当する四字熟語をその中から選ぶ」という二段構えです。特に、前半の四字熟語の「書き取り」となる部分は、主催者発表のデータによると、全設問の中でも最も正答率の低い「難問」とも言えます。
今回は、その出題された四字熟語の中から、一文字を●で抜いて提示します。ヒントとなる四字熟語の意味を添えますので、●に入る漢字を答えてください。
1、「文人●客」
最初は「文人●客」です。意味は「詩歌・書画など文芸を楽しむ人と、書や絵を巧みに描く人」。上の二字と下の二字が、ほぼ同じ意味の熟語を重ねた四字熟語です。さて、わかりましたか?
正解は「墨」、つまり「文人墨客」です。
ところで、「文人墨客」を何と読むでしょうか? 「ブンジンボッカク」と「ブンジンボッキャク」と二通りの答えが聞こえてきそうです。「客」の音読みは、「呉音(日本に最も古く伝わった音)」の「キャク」と「漢音(唐の時代の都の音)」の「カク」と二通りあります。実はどちらも正解(許容)なのですが、多くの辞書では、「墨客」の見出し語としては「ボッカク」のほうを示します(語釈の中で「ボッキャクとも」と注記)。したがって、「文人墨客」も「ブンジンボッカク」と読んでおいたほうがよいと思います。
2、「妖怪変●」
次は「妖怪変●」です。意味は、「人間の知識などでは理解できない不思議な存在。ばけもの」。これも実は、上の二字と下の二字が、ほぼ同じ意味の熟語を重ねた四字熟語です。さて、わかりましたか?
正解は「化」、「妖怪変化」です。読みにも注意です。「ヨウカイヘンカ」と読み間違う人がいると思います。正しくは、「ヨウカイヘンゲ」です。「化」を「カ」と読むのは漢音、「ケ」は呉音です。一般的には「カ」が優勢ですが、「ケ」と読む熟語には「化粧(ケショウ)」や「化身(ケシン)」などがありますね。どちらか限定の読みをする熟語が多い中で、「変化」は「ヘンカ」「ヘンゲ」と二通りの読みを持ちますが、先程の説明した意味である場合は「ヘンゲ」と読みます。
3、「汗●充棟」
最後は「汗●充棟」です。「きわめて蔵書が多いこと」のたとえに使います。難問なのでおまけのヒントです。「●が引っ張れば汗をかくほど重く、積み上げれば棟木(=屋根の高いところに使う横木)まで届くほど量がある」というのが直訳でしょうか。荷物を引っ張る動物と言えば……。
正解は「牛」、つまり「汗牛充棟」です。「カンギュウジュウトウ」と読みますが、この四字熟語は中国の唐の時代の文章が由来です。
いかがでしたか?文章や会話の中で使われた四字熟語は読み方や意味を知っていることで、相手の言っていることがよくわかりますし、自分自身でさりげなく使うことができれば、表現の幅が広がります。難しいものは知らなくても、漢字検定2級程度の四字熟語は、使いこなせるようにしておきたいですね。では、今回はこのへんで。
《参考文献》
・「漢検過去問題集2級」(日本漢字能力検定協会)
・「四字熟語成句時点」(講談社)
・「新明解国語辞典 第七版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)
・「新字源」(角川書店)
文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)