本上まなみさん「ついに来た」推しアイドル登場で長女のスマホ問題に直面
豊かな自然に恵まれた京都で暮らす、本上まなみさん。娘さんは中学3年生、息子さんは小学3年生になり子育ては〝待つ・見守る〟ステージに。そのエピソードには、個性に寄り添い感性を伸ばす絶妙な手の差し伸べ方のヒントがいっぱいです。ここではインタビュー【前編】をお届けします。
▼インタビュー【後編】はこちら
本上まなみさん「最終学歴は問わないけれど、学業を終えたら独り立ちと伝えています」
「京都の自然のなか、
親子で豊かな人生を。
子どもにとって祖父母は
とても大事な存在です」
家族のルーツも学べる
自然と人に恵まれた京都での子育て
VERYで連載をしていた頃は赤ちゃんだった娘が、もう中学3年生。息子は小学3年生になり、毎日京都の自然の中で野生児のように遊んでいます。家の近くの河川敷で虫捕りや魚つかみをしたり、コロナ禍でも有り余るエネルギーを発散できる場所があったのはありがたかったです。我が家は築100年ぐらいの古い日本家屋なので、男の子がお家遊びするには耐久性が。私も幼い頃は大阪の郊外で育ち、宿題もそこそこにザリガニ釣りに出かけたり、竹藪を探検したりと「どれだけ外遊びを満喫するか」という子でした。今でも腕に覚えがあって、子どもの虫捕りなんかも、まずは私がお手本を見せて教えました。京都へ移住することを夫婦で決めたのは、子どもに体全体を使って遊ぶ経験をして欲しいというのが一番ですが、私自身ももう一度そういう生活をしたいという思いもあったから。娘が幼稚園までは東京で暮らしていて、小さな幼稚園で親子同士の関係にも恵まれ、このまま東京で子どもたちを育てるのもいいなとは思っていました。ただ、夫と私が生まれ育った関西に行けば、核家族だけではない祖父母との関係性もより深まる。子どもたちは自分のルーツを体感として知ることができるんですよね。子どもを授かったときに夫婦で話したのは、「子どもたちと一緒に豊かな人生を送りたい」ということ。学力も大切ですが、自分の人生を振り返ると人との出会いによって成長できたところが大きい。人間関係って詰めこみではなく、長い時間をかけて育んでいくものだと思うんです。そうすると、祖父母の存在って大きいなと。夫の母は92歳でとても元気ですが、ちょこちょこ遊びに行って様子を見つつ、裏の池で息子はサワガニを捕まえたり、娘は料理や編み物を教わったりして。距離が近づくと互いの生活のリズムもわかりやすいので、ペースを崩さない程度に遊ばせてもらったり、お節介をしたり、見守ることができる。京都に拠点を移して本当に良かったなと思っています。
手をかけずに、目をかける。
苦手なことも認めてあげたい
子どもたちには豊かな人生を送って欲しいというくらいで、子育ての方針とかは特にないんです。ただ、日々個性が出てくる様子を見ていると、自由に伸ばしてあげることが大事かなと感じています。息子はまだまだ手がかかりますが、娘に関しては“手をかけずに、目をかける”ステージにいるのかなという実感。娘は私に似て読書が好きで、そのペースがものすごく早い。通学時間が長いこともあって、小説を1日2冊とか読んじゃうんです。それはすごくいいことですが、インプットに特化しているのがもったいないなと。そこから自分で考えたこと、思ったことを形にする=アウトプットすることを覚えた方がいいと、小学校のときは「図書係になって、ミニ司書さんみたいに“こんな本ありますよ”とおすすめできたらいいね」とか、「短くてもいいから読んで感じたことを言葉に残せるといいね」と提案したりしました。最近では、英検の二次試験が面接で、語彙力がないことを本人は心配していて。でも、娘は私と違って初対面の人に緊張せず、学芸会で役をもらって演じることが好きなタイプ。「だったら面接ではなく、お芝居だと思って演じてみたら」とアドバイス。拙い英語でも恥ずかしそうにしているより、堂々とコミュニケーションを図れる方がきっといい。これからどんどんボーダレスな社会になっていくはずなので、いろんなバックボーンを持つ人とコミュニケーションを図れるスキルは身につけて欲しいと願っています。語学がうまく習得できなかったとしても、伝えたい気持ちがあってそれを何らかの形にすることができれば、翻訳というサポートで伝えることができる時代。語学を完璧にとか、最初から高い目標を掲げてしまうと私自身がプレッシャーで潰れてしまうタイプなので、子どもにも高望みはしないようにしています。人それぞれ得手不得手があって当たり前で、伸びるタイミングも違う。克服させようと無理に頑張らせると、かえってこじれてしまう気がして。“成長を待つ、見守る”心の余裕を持つことも、すごく大事だなと思うんです。と言いつつそれが一番むずかしく、イライラしたりもするんですけどね。
NEXT>>“推しのアイドル”登場で子どもの「スマホ問題」が勃発
推しのアイドル登場で
ついに来た「スマホ問題」
我が家にもとうとう「スマホ問題」に直面。娘が中学1年生のときに周りの友達のほとんどがキッズ携帯からスマートフォンに移行、そのタイミングでうちはどうするかと話し合ったのですが、当時は娘が「学校に行けばお友達と話せるからいらないよ」と、これまではいわゆるガラケーを使っていたんです。自宅では使いたいときにタブレットを貸していたので不便はなかったみたいですが、中学3年生になり“推しのアイドル”ができて「その人たちの情報をチェックしたい」と、使用が頻繁に。推しのアイドルはグループで、メンバーがSNSで個々に情報を発信するのでチェックする方も忙しいらしく。家にいる間は私のタブレットを常に持っている状態になってしまい、勉強しながらラジオ感覚で視聴する状況を見て「ついに、来たな」と(笑)。自分専用のスマートフォンが欲しいと言われるのも時間の問題。そう言われたら、買うつもりではいます。ただ、今の扱い方だとやらなければいけないことに100%力を注げていないのは確か。メリハリをつけるとか時間を決めるとか、どういうルールにするかが課題です。でも、推しのアイドルができるとか、すごく素敵なことだと思います。そういう人がいると「こんなにイキイキするんだ」と見ていて微笑ましい。今の子どもたちって、私たちが想像もつかない職業だったり、生き方を開拓していくと思っていて、旧来の価値観で「これをしなさい、これは違う」とか決めつけないことが親の課題なのかも知れません。
子どもが生まれてからの人生は
大変以上に「おもしろく幸せ」。
たまに夫と冗談混じりに「夫婦ふたりのときの生活って、今思うとつまらなかったね」って話すんです。子どもが生まれてからはとにかく忙しくて、毎日がギリギリで、泣いたり失敗したり心配したり、誰かに頭を下げたり……。大変なことは数えきれないほどありますが、それ以上におもしろく幸せなことがあって。こんな体験をさせてもらえるのも、子どもがいてくれるから。だいぶ大きくなっちゃいましたが、残りの子育ても余すところなく全部味わっていきたいです。
左)滋賀の実家の畑で、じゃがいも掘りをしているところ。いつも畑を耕すところから始めるので収穫日は嬉しい日。かなり張り切って作業をしています。
右)京都、賀茂川河川敷は息子のお気に入りの場所。ポイントをあちこち変えながら魚つかみに励みます。
ニット ¥26,400(ガリャルダガランテ/ガリャルダガランテ 表参道店)パンツ ¥35,200(ドローイング ナンバーズ/ドローイング ナンバーズ 新宿店)スニーカー ¥34,100(デイト/ウィム ガゼット 玉川高島屋S・C店)ピアス ¥429,000 イヤカフ ¥242,000 リング ¥286,000(すべてメシカ/メシカ ブティック 日本橋三越本店 本館6階)
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ほんじょう まなみ。1975年東京生まれ、大阪育ち。共働きの家庭で育ち、働く母の姿を見て育ったご自身も結婚・出産後も迷うことなく仕事を継続。現在も俳優としてだけでなく、声優、エッセイスト、絵本作家などと幅広いジャンルで活躍。現在は京都在住。
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撮影/竹内裕二〈BALLPARK〉 スタイリング/池田奈加子 ヘア・メーク/笹浦洋子 取材・文/櫻井裕美 編集/羽城麻子
VERY NAVY10月号『本上まなみさんインタビュー 子育て第2シーズンどうですか?』から
詳しくは2021年9/7発売VERY NAVY10月号に掲載しています。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。