10人の器作家の「暮らしの白」 ⑥尾形アツシさん
尾形アツシさん
ヒビ手白マグ/ヒビ手白5寸皿
写真右)ヒビ手白マグ 取っ手が大きくて持ちやすく、飲み口が斜めに仕上げてあり口当たりもよい。¥4,400。約φ8(取っ手までは11.5)×高さ8.5cm
写真左)ヒビ手白5寸皿 少し深さがあり汁気のあるおかずも受け止める。¥3,300。約φ16×高さ3cm
その昔、磁器の白への憧れから、白くはない陶土の表面に白土を掛け、白さを演出したといわれる「粉引き」という名の焼物。尾形アツシさんは、粉引き特有のあたたかみのある白に惹かれ、もう20年以上、作り続けている。
採掘したままの原土に近い、不純物の多い土を使うのは、土が本来持つ粗粗しさを器のどこかに残したいから。「ヒビ手白」という名の粉引きのマグや5寸皿には、土と釉薬、窯焚きの火という自然の力により生まれる装飾だ。尾形さんは、それを白ではなく「無地」ととらえる。器の表面に白土の層があることで、かえってその下に潜む原土の魅力が浮かび上がる。そんな器だ。
ECサイト「HERS à table 」はこちらから
バックナンバー
亀田大介さん
吉田直嗣さん
黒川登紀子さん
児玉修治さん
郡司製陶所
撮影/邑口京一郎 取材・文/衣奈彩子 構成/松本朋子