【コロナ】「日本の水際対策」は厳しくなった?それともザルのまま?【リアル入国体験記】
CLASSY.ONLINEライターの山水由里絵(やまみず ゆりえ)です。2017年から夫の仕事の都合で、4年ほど中国・深センで生活し、2021年5月中旬に任期終了のため、日本に帰国しました。
Googleで「日本の水際対策」と検索すると、「ザル」や「甘い」といったワードが提案されます。では、現状日本では、どのような水際対策がとられているのでしょうか。実際の経験談をもとに、海外からの入国者に対する、日本の水際対策についてレポートしていきます。
※このレポートは実際の体験談ですが、入国時期や出発地によって、ルールなどが異なる場合があります。
日本の水際対策|1.事前準備から帰国までの流れ
①入国前に必要な事前準備
現在、日本に入国するには、出国前72時間以内に実施したPCR検査陰性証明書が必要です。フライト前々日に深セン市内の総合病院にて検査を実施。感染対策の観点から野外に設置された、写真のような検査施設にて検体を採取し、翌日朝には証明書が発行されます。価格は検査証明と日本政府指定のフォーマット2枚セットで、1人あたり113元(約1,930円)でした。
PCR検査陰性証明書原本と日本政府指定のフォーマットは各1枚ずつ必要です。また、検査方法(咽頭ぬぐい/唾液)や性別、生年月日などの記入漏れがあり、搭乗拒否されたり日本に入国できなかったりしたというケースがあったと聞いていたので、受け取り後には再度記入漏れがないか要確認です。
②機内の様子
中国・深センから成田へのフライトは、乗客19名と空席が目立ちました。人事異動の多い4月はもう少し混んでいたようです。機内食やドリンク提供など、機内でのサービスは通常通り。いつもと異なる点は、入国時に必要となる誓約書が事前に機内で配られたことです。
③降機から日本入国までの流れ
ここからは、いくつかのチェックポイントを順に通過していく形式。
全てのポイントにスタッフが配置され、丁寧に1対1(もしくは家族ごと)で確認や説明を受けます。
事前PCRの陰性証明書や誓約書が揃っているかを確認
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PCR検査(唾液)
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隔離期間中のアプリインストールおよび設定、
使用方法説明など
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14日間の隔離場所の確認
隔離場所までの移動方法の確認
(口頭での確認で、予約番号などのチェックはなし)
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到着後に受けたPCR検査の結果待ち
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PCR検査の結果が出た人から、番号を呼ばれて結果を受け取る
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誓約書、現地での陰性証明書を回収
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入国審査
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預けた荷物の受け取り
(荷物は既にカートに積んであり、とても助かりました)
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税関
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入国
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ハイヤーを利用して待機場所(自宅)まで移動
20時ごろ成田空港に到着し、迎えの車に乗れたのが22時ごろ。その日の最終便ということもあり、ほとんど止まることなくスムーズに確認が進み、到着から入国までの所要時間は2時間ほどでした。待機用の椅子に振ってある番号が200番台まであったので、フライトの時間や時期によっては、待ち時間が長くなることも予想されます。
※ちなみに、中国は変異株流行国・地域へ指定されていないので(2021年6月8日現在)、到着日から自宅待機となりますが、指定国・地域から入国する場合は、検疫所の確保する宿泊施設などで数日間待機ののち、検査を行い陰性とされてから自宅待機に切り替え。指定国・地域は、随時更新されるので出発前に確認が必要です。
日本の水際対策|2.待機(隔離)期間中のルール
▽誓約書の要約
待機期間の14日間、
・他者との接触を控える
・申告した場所からの外出を控える
・公共交通機関の利用をしない
・健康報告義務
・接触確認アプリと位置情報アプリを利用
・保健所から別途指示があれば従うこと
・感染防止に努めること
※誓約書に違反した場合、氏名や、感染拡大の防止に資する情報が公表される可能性があります。虚偽の申告の場合、検疫法第36条の規定により罰せられることがあります(6カ月以下の懲役または、50万円以下の罰金)。
▽待機中に必要なアプリ
・COCOA
・OEL
・MySOS
※Skype、WhatsAppなど既存のビデオ通話アプリを使った確認は、5/12から廃止。
待機期間の最終日のビデオ通話で、翌日から外出ができること、最終日が終わるまでは自宅で待機するようにとの指示がありました。また、待機期間終了後、「入国者健康確認センターとの接続が解除されました」とアプリに通知があり、不要になったOELとMySOSのアプリは削除。COCOAは引き続き使えるので、残しています。
日本の水際対策|3.待機(隔離)期間中の生活
・OELのアプリでの位置情報提供は1日に2回以上
・厚生労働省からの健康アンケートは1日1回
・My SOSのアプリから、ビデオ通話を使った位置情報確認は1日1回
※位置情報提供や位置情報確認の頻度は、ランダムに変わる可能性があります。
私の場合は自宅での待機でしたが、自宅がない、または遠方の場合は、ホテルでの待機が可能です(予約時に帰国者を受け入れているか要確認)。5月12日から新アプリを導入したこともあり、毎日、居場所確認のビデオ通話がありました。「ビデオ通話で今いる場所を360度映してください」と言われるので、周りの様子をカメラで映して自宅にいることを報告。土日も同様にチェックがありました。待機期間中の2週間は完全在宅勤務で、買い物や食事はネットスーパーや出前アプリを活用しました。
日本の水際対策|4.以前との違いは?
2020年11月末時点(中国から日本へ入国)
・指定地域以外からの入国者は、事前のPCR検査陰性証明書は提出不要
・指定地域以外からの入国者は到着後、空港でのPCR検査なし(希望しても検査不可だったそう)
・到着後14日間は、自宅やホテルで待機(ただし、スーパーなど生活に必要な外出は可)
・誓約書はあったが、違反の場合の実名公開などに関する記述はなし
・位置情報アプリのダウンロードやテレビ通話を使った追跡はなし、予定を口頭のみで確認
※出発地によって細かい対応は変わります。
2021年6月現在(中国から日本へ入国)
・出発地にかかわらず、全員事前のPCR検査陰性証明書を提出
・出発地にかかわらず、全員に到着後、空港でPCR検査を実施
・アプリを使った位置情報の提出
・ビデオ通話アプリを使い、待機場所にいることを確認
・変異株流行国・地域に過去14日間滞在歴がある入国者は、検疫所長が指定する場所で一定期間待機をしたのち、再度陰性が証明されれば自宅待機に切り替え
日本の水際対策|5.まとめ
海外からのコロナウイルスや変異種の流入を防ぐため、以前に比べると厳しくなった日本の水際対策。誓約書の内容変更や居場所確認の厳重化、検疫法の適用など…少しずつ改善を加えているようです。しかし、抜け道も多いため、性善説で事が進んでいるのも事実。まだまだ課題もありそうです。
文・写真/山水 由里絵(やまみず ゆりえ)
大学卒業後は広告代理店に勤務し、結婚を機に海外へ引っ越し。現在は旅行・美容関連の記事をメインに、CLASSY.読者と同世代のフリーランスライターとして活動中。2019年9月よりCLASSY.ONLINEで執筆をスタート。
Instagram:@yuuurie_1211
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