エルメスの世界観を堪能できる、「エルメス表参道店」がオープン!
ファッショントレンドの発信地、表参道。緑豊かなけやき並木の大通りに、ついにエルメスがやってきました! 今までなかったのが不思議なほど。すでに街に溶け込みつつも、格式あるメゾンが放つ華やかで革新的なたたずまいが、前を通る人々を圧倒しています。コッパーカラーの柵に囲われた店内は、いったい、どのようになっているのでしょうか? さっそく、訪れてみました。
オープンしたのは、かつて、土留めとして築かれた石垣のある場所。歴史ある石垣を壊すことなく生かし、ステンレスの柵で囲んで竹林に見立てるというアイデアからは、古きよきものに対する敬意とイノベーティブな創造性を感じます。エルメスといえば、ウィンドウディスプレイもユニーク。店内は日本文化も交えたエルメスの世界観が随所に散りばめられています。
まず目を惹かれたのがウィメンズシルクのコーナーに展示されている艶やかなカレ《デュオ・コスミック》。男女を「阿吽」に見立て、万物の始まりと終わりが表現されています。2020 年、エルメスのカレ・コンテストでグランプリを受賞した現代装飾家、京森康平氏の描く世界観が1枚のスカーフの中に広がっています。表参道店限定の配色なので持っているだけで鼻高々にカレ自慢ができそう。表参道のオープニングを飾るウィンドウディスプレイも同じコンセプトに基づき同氏が手掛け、作品が連動しているので鑑賞するお楽しみも増します。※特別製品のため在庫には限りがあります。あらかじめご了承ください。
入口を入ってすぐの柱には、カラフルなシューズや、ピクニックバスケットなど、これからの季節の到来が待ち遠しくなるような注目のアイテムがたくさん。眺めるだけでも楽しく、思わず手を伸ばしたくなります。奥にはサーフボードも。表参道店のためにつくられた《シュヴァル・ドゥ・フェット》柄の賑やかで珍しい製品からもメゾンの遊び心が感じられます。
驚くべきは、木製の自転車。大きなカゴのユニークで愛らしいデザインは、日本の宅配用自転車にインスパイアされて生み出されたそう。オープニングに合わせた期間限定の展示ですが、オシャレと職人技を組み合わせたサステナブルな取り組みを目から存分に楽しませてくれます。自転車はスペシャルオーダー部門「オリゾン」で今年の秋頃から製品化の予定。
1階の奥には、バッグコーナーに加えてメゾンの象徴である馬具も置かれています。その手前には、ワンちゃん用のための品が並びます。餌を入れるボウルにも由緒あるエルメスのロゴが。最高の素材を用いて丁寧に作られる首輪やリードをつけてもらってケアをされたらペット冥利に尽きます。
馬具コーナーの右側の壁面にカラフルな革小物が見えてきます。と同時に、ガラス張りのケースから少し見上げたところに、鞭を発見! 美術品の収集家として知られる3代目のエミール・エルメスのコレクションである歴史を刻んだ19世紀の鞭が、さりげなく新店舗の一角に飾られているところに意表を突かれます。伝統と格式を保ちつつモダンに融合させる計らいがなんとも素敵。
1階左奥に進むとジュエリーと時計の一角が。階上から注がれる木漏れ日のような光の演出のせいなのか、ラグジュアリーな場も心安らぐ空間に。敷かれたじゅうたんは森の苔をイメージした落ち着いた緑色。竹の寄木細工は、直線的なだけでなく最先端のテクノロジーを用いて緩くカーブさせた壁面が、森林を彷彿とさせます。
オープンを記念して1階奥に展示されているのは野村大輔氏デザインのカシミヤシルクのスカーフ、《メガ・シャリオ》柄のデッサン画(右側)。日本のロボット・アニメの要素とナポレオン3世の息子が所有していた馬の三輪馬車が融合したデザインです。
吹き抜けのアートワークを鑑賞しながら階段を上がると、2階はウィメンズとメンズのプレタポルテ、シューズのフロア。フロア全体にそこはかとなく上品さが漂うのに、ハイブランドにありがちな堅苦しさを感じさせない落ち着いた空間で、ゆったりと過ごせます。Tシャツなど、ベーシックなアイテムや小物も揃い、燦々と陽の光が注ぐなか、いるだけで心地よさを感じます。
特筆すべきは広々としたサロン。窓辺には明治神宮に向かって黒松や、もみじ、京都の苔など、風流を感じられる日本庭園風の屋外テラスが施されています。日本文化への敬愛をも感じる一角は、日本の美意識とフランスの美意識が溶け合って新たな美を見出せる場になっています。
- エルメス表参道店
- 住所:東京都渋谷区神宮前5-7-20
- TEL:03-6712-6612
- 営業時間:11:00~19:00
- 定休日:水曜日
撮影/丸益功紀(BOIL) 取材/嶋田桂以子