「夫婦の寝室」別々?一緒?子どもの成長で変わる4つのカタチ
今はおそらく、多くの人が何の疑問もなく家族一緒に寝ている〝寝室〟ですが、諸先輩の経験を聞くと、子供の成長とともに家族の寝室の形は変わっていき、夫婦だけになった時に、「あれ?」と思うような夫への気持ちの変化に気がついたりすることもあるそう。将来子供が巣立ってから、寝室について、さらには夫婦関係について悩まないためにも、今少しだけ立ち止まってこの機会に「夫婦の寝室」について考えてみませんか。
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▶︎夫婦2人期
2人でいたいような、
早く子供が欲しいような……
まだまだ恋人気分いっぱい
2人で寝るのが当然で別室なんて考えられない気分の続く時期。今まで寝るタイミングはバラバラだったけど、お互いリモートが増えて寝る時間も一緒になって話す時間が増えたという共働き夫婦も。寝る時は手を繫いで、夫にくっついて眠る、足をのっけるのが安心するというラブラブな意見が多数。
夜、寝室で寝転がりながら夫とおしゃべりするのが楽しい。そして朝起きてすぐ夫に話しかけています(笑)。(29歳・結婚2年目)
新居を買う時、ベッドとマットレス選びに一番こだわりました。夫にくっついたり、手を繫いで寝るのが結婚してよかったと感じる瞬間です。(31歳・結婚1年目)
2LDK住まいでリモートが増えた夫の仕事部屋を作ったので必然的に寝る部屋は1つですが、別々に寝たいと思ったことは今のところないです。(30歳・結婚1年目)
▶︎子供と一緒期
寝相が大変だけど
“ママ大好き期”の子供との
かけがえのない時間
子供の寝相が悪かったり、寝る場所を取られてぐっすり眠れない日もあるけれど、子供の寝顔を見ると一日の疲れが吹っ飛んでしまう。「ママ大好き」と寝る前に言い合う子供たちに挟まれて、やることがまだあるのについ寝落ち……まさに今のVERY世代の多くがこの時期ではないでしょうか。大変だけど幸せを嚙み締められる寝室。
子供が生まれてからクイーンサイズのベッドで3人で寝ています。寝相の悪い子供のケアもできるし、しばらくはこのスタイルです。(33歳・2歳男の子)
夫婦喧嘩していても、家族が一緒に寝ることでいつの間にか仲直りしたりしているので、夫婦が一緒に寝るのは必要なことかも。(34歳・5歳男の子)
夫は私たちが寝てから帰ってくるので、同じ部屋だけれど私と子供はベッド、パパだけ床に布団を敷いて寝ています。これくらいの距離が眠りを邪魔されず快適です。(35歳・4歳と2歳女の子)
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▶︎子供部屋期
子供の成長は気づけばあっという間。
今更2人って、なんだかちょっと気まずい?
成長すると、いずれ子供は子供部屋へ。必然的に夫婦2人だけの寝室に。多くの人が夫婦だけの空間が久しぶりなので、最初は子供がいなくて寂しくなったり、夫婦の今更の距離の近さにとまどったり、落ち着かなかったりする模様。この時期に一緒に寝ない選択をすると、もう一緒に寝るタイミングはこの先ない?という懸念も。
3LDKで他に部屋がないので夫婦一緒に寝るしかないのですが、正直辛い。冷房のつけっぱなしや寝るタイミングもバラバラで。寝ている時も夫の視線を感じてアイマスクをして横向きで寝ています。だんだん夫の寝息も気になってきて最近耳栓を買ったところです。(39歳・10歳女の子と6歳男の子)
家族4人で寝ていたベッドが、夫婦2人に。まだ慣れなくて気まずい感じ(笑)。お互い距離感を探っていて、私はベッドの端っこで背を向けて寝ることが多いです。(38歳・7歳と5歳女の子)
私は絶対夫婦は一緒に寝るべきだと思っているのですが、夫のいびきがひどくて夫とは頭を逆にして寝ています。いびきがうるさいと夫を蹴っているらしくて(笑)、夫に別部屋を提案されましたが、私は別部屋にすることで夫婦仲が悪くなるのではと心配でしぶっています。(40歳・11歳と7歳男の子)
▶︎夫婦2人期リターンズ
十数年を経て、再びの2人きり。
趣味も生活リズムも夫婦関係も大切。
さあ何を優先する?
子供が社会人になるなどして家から巣立ち、部屋が空くので夫婦それぞれ部屋を持つことも可能に。スムーズにそれぞれ別室を選択する夫婦もいる一方で、「夫婦は一緒に寝るもの」と片方が思っていると、別の部屋で寝たいとは案外言い出しにくいもの。相手を傷つけたくはないけれど睡眠の質ももっと良くしたいと、悩む声も。
子供が春から一人暮らしを始めることになり、部屋が空くのでこの機会に別々に寝たいと思っています。タイミングを逃すとなかなか言えなくなるので、スムーズに言い出す機会と言い方を考え中です。(48歳・息子21歳)
夫のいびきがうるさすぎて、睡眠不足になり夫に別部屋を打診。夫も文句を言われ続けるよりはと思ったようで一人暮らしをするようになった長男の部屋に私のベッドを買って別々で寝るようになりストレスフリーになりました。(54歳・息子21歳と娘18歳)
もう8年ほど夫婦でクイーンサイズのベッドに寝ていますが、夫の寝返りやトイレに起きるたびに私も目が覚めてしまい、最近イライラするのは更年期じゃなくてこのせいかもと思っています。でも夫は一緒に寝るのは当たり前だと思っているので、別部屋にしたいと言いにくいです。(48歳・娘18歳と息子15歳)
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夫婦の寝室をよくするヒント集
【1】
日本女性の睡眠時間は短い。
質のいい睡眠のために
できることを実行しよう
OECD30カ国の平均睡眠時間と比べると、日本人はワースト1位でとりわけ男性よりも女性の睡眠時間が短い。しかも、睡眠時間は30代、40代、50代と年々減少していきます。日本は育児、家事、介護と女性にかかる負担が重いのが要因なうえ、最近はコロナ禍で生活の変化や子供のケアなども加わり、時間だけでなく睡眠の質も悪くなっているのが現状です。〝いい睡眠〟という点では、やはり一人で寝るのがベスト。ただ、住環境的に夫婦別部屋が難しい場合、それぞれの体格に合ったマットレスで寝られるシングルベッドを2つ並べるのがオススメです。ベッドの隙間が気になる時は、埋める連結バンドもあります。2つ置くのが難しい場合は寝相の振動が邪魔し合わないポケットコイルタイプのマットレスがいいでしょう。そして、掛け布団は別々がいいですが、難しい場合はそれぞれの体にフィットする羽毛布団を。年齢を重ねると男性はいびきがひどくなったり、頻繁に起きたりなど睡眠障害が出やすくなり、女性は女性ホルモンバランスの乱れから体温調節がうまくいかなかったり、イライラしやすくなったりと一緒に寝ることで健康に影響が出るケースも。いびき離婚という言葉があるほどですが、ひどいいびきや夫婦で寝る時間帯の相違がある人は、別室が健康にも夫婦関係にも円満と言えると思います。
睡眠コンサルタント
友野なお先生
先進予防医学 医学博士課程にて健康寿命の延伸と健康格差の縮小を目指し、睡眠と健康に関する研究活動を行う。プライベートでは2歳と0歳の女の子のママ。
【2】
寝室問題は、夫婦の関係を
どうしていきたいのか
気持ちの棚卸しのきっかけに
〝寝る〟という無防備な時間を同じ空間で過ごすのは、最低限の信頼関係がないとできないことです。一緒に寝るのは、そうした信頼関係を日々再確認することでもあるので、違うベッドでそれぞれ寝ていても、夫婦の親密感や一体感を高める効果があります。ただ、不信感や嫌悪感が大きい時は逆効果になってしまうこともありえます。喧嘩しても、その後に一緒に寝なければならないなら、最低限の信頼関係を残さなければならないと無意識に思うので2人の安全柵でもあります。夫婦だけの寝室になることにどう感じるかは、夫婦の関係の一つのバロメーターです。楽しみにする気持ちが少なかったり、何らかの躊躇があるなら、現実に寝にくいだけではなく、気持ちの面で夫婦の関係に澱が溜まっているのかもしれません。その気づきをきっかけに、自分の気持ちを棚卸したり、これから先も2人が仲良く幸せでいるためにどうしたらいいか、話し合いができたら素敵なことだと思います。
臨床心理士、はあと・クリニック代表
西澤寿樹先生
国際交流分析協会公認交流分析家。個人や夫婦間で無意識にしてしまう心のクセやコミュニケーションのクセを少しずつリフォームできるようアドバイス。
まとめ
より良い夫婦の寝室の
ために意識しておきたいこと
●子供と別に寝るようになるタイミングは、夫婦の寝室について考えてみる良い機会
●年齢を経ていくと、男性側の睡眠障害、女性側のホルモンバランスの変化により、女性の方が寝室の在り方にストレスを抱えるケースが多い
●相手のいびきなど、睡眠に影響するストレスがあれば言い合える関係を日頃から意識して
●1つのベッドに寝るなら、掛け布団は2つにするなど、寝具を上手に工夫して質のよい睡眠を
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取材・文/立花あゆ イラスト/macco 編集/永吉徳子
*VERY2021年2月号「子供が巣立った先の〝いい関係〟作りは、今から始まっている「夫婦の寝室」はどうなっていく?」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。