《30年間ビューティ担当のベストコスメ》【第35回】ゆらぎ肌に、コーセーのクレンジングバーム
ゆらぎ肌の人は新しい化粧品を使い始めた時は細心の注意が必要です。今まで信頼していたブランドのクレンジングを使い始めたところ肌不調に(涙)。全てのアイテムが肌に合うとは限らないと再認識すると同時に、クレンジングこそ選択が大切だと実感しました。そこで新しいクレンジングバームをチョイス。肌に優しく落とすだけでなく、リフトアップ成分もプラスしているというから驚きです。
今月の殿堂コスメは、コーセーの「インフィニティ プレステジアス クレンジング バーム」
インフィニティ プレステジアス クレンジング バーム 120g ¥6,000〈編集部調べ〉(コーセー)。植物性スクワランオイルを含む濃厚な美容オイルが肌温でとろけるバーム。メークアップ、肌についた大気中の微粒子(ちり、ほこり)、古い角質、毛穴の汚れを優しく落とし、潤い、ハリ感、キメが整った肌に導く。独自の「SMAS Rビルド テクノロジー」搭載。パラベンフリー、鉱物油フリー。2020年10月16日発売。
\ここがすごい/
1:ゆらいでいる肌にはクレンジングを厳選する
2:落とすだけでなくリフトアップ効果を導くバーム
3:自分の肌にじっくりと触れる時間を持つ
硬い土に水や養分は入らない。進化したクレンジングバームでカチカチになった肌を優しくときほぐし、さらにハリ感も叶えます
ある朝、肌の調子がよくないと感じたのは、クレンジングを新しくした数日後でした。実際、変えたコスメはそれだけだったので、すぐに使用を中止。メーク落としに何を使おう? と考えた時に目にしたのが、コーセーの「インフィニティ プレステジアス クレンジング バーム」(以下、「PG クレンジング バーム」)です。手に取った時は硬めなのですが、肌に少しずつのせて指でクルクルするととろけていくので刺激にならず、しっとりしながらベタつかない後肌。使って数日で肌の調子も戻りました。
「バーム」と聞くと瞬間的に〝肌にいい〟と思いますよね。そもそもバームとは何でしょうか? 「香油・芳香のある軟膏・鎮静薬」という意味を持ち、代表的なのは1870年代にできた「タイガーバーム」、ご存じBBクリームは「ブレミッシュ・バーム・クリーム」の略で、美容医療直後につける「傷(blemish)を補う香油のクリーム」のこと。成分配合的に明確な定義はないのですが、化粧品においては「水をほとんど含まずオイルでできていて通常の温度で固形を保つもの」が、バームと呼ばれます。2012年頃からバームスキンケアが注目されてさまざまな用途のバームが発売になり、今の状況でいっそう需要が高まっています。
「PG クレンジング バーム」開発のスタート時は、もちろんコロナウイルスのことなど考えてはいませんでした。ブランド最高峰である「インフィニティ プレステジアス」をリニューアルするにあたって〝濃密〟というDNAを織り込み、スキンケアの第一歩から贅沢感や最高の心地よさを追求しようと、バームという剤型が選ばれたのです。何故ならクレンジングオイルや同クリームには入れられないペースト状のオイルをバームにはふんだんに入れられるから。従来のクレンジングバーム製品の多くは、①指で取った時にコリッとした感覚があり溶けるとオイルがサラサラとしてすっきりした洗い上がり、②とろんとしたテクスチャーでしっとりとした洗い上がり、の2パターン。コーセーは、硬いものがとろける感触の変化においてまだ世の中にないものを作りたいと思いました。“肌温3秒溶け”という新感覚を目指したのです。
しかし、これが涙の苦労の始まり。オイルを溶かして充塡し、容器の中で固めていくのがバームの基本の作り方ですが、充塡のタイミング、何度で冷やすのか、どんなスピードで冷やすのか――陥没、ひび割れ、逆に見た目がよくてもテクスチャーがダメ、など試作が来ては落胆する、の繰り返しでした。しかも、そこに新「インフィニティ プレステジアス」共通の「SMAS Rビルド テクノロジー」を搭載しなくてはいけない、という命題があったのです。SMASは真皮の下の脂肪層内にある筋膜で、加齢とともに緩んできて顔のたるみの一因になります。しかし、SMAS自体を強化するのは困難と言われており、このテクノロジーでは、ハナショウガエキスでSMASを下から圧迫する脂肪の蓄積を抑え、真皮を強化するタチジャコウエキスを配合しています。しかし、前述のように水を含まないのがバーム。この2成分はどちらも水系エキス。処方の検討方向が5案(通常2案でも多いとか)あったのですが、このとろけ感だ! というものにはなかなか出合えず、通常の3倍にもなる研究所、工場、製品開発間のやりとりを経て、フォンダンショコラのような感触で、水を中に抱えるオイルバランスを見出し、2年以上かけて完成させました。
クレンジングは〝落としもの〟と言われます。どうせ落としてしまうのだからとおざなりにされがちなのは否めません。ここでバームにしたもう一つの理由が重要になってきます。バームは肌残りがいい剤型。だからSMAS緩みにアプローチする成分を肌に残す設計ができる。「PG クレンジング バーム」の凄さは、“落としもの”と“与えもの”の役割両方をすること。それを高い次元で実現させたことで、新「インフィニティ プレステジアス」のメインアイテムにしようと会社側が決めるほどの画期的なアイテムになりました。
実はバームという言葉には「慰め」という意味もあります。気分をホッとさせるお茶の総称をBalm Teaと言ったりもします。「PGクレンジング バーム」をお風呂の中で使っていると、指と肌の間でとろけていく感触に、心もゆるゆるとほどけていくようです。疲れた肌と心を慰めてやわらかくする時間を持つ。私にとって、ストレスの多い日常に不可欠なスキンケアのファーストステップになりました。
\使っています♡/
1日1回、夜のお風呂タイムの一番最初に使っています。この写真は使って3週間ほど経った量です。さくらんぼ大を乾いた手のひらに取り、指で少しずつ顔につけ馴染ませたら、その後に水かぬるま湯で洗い流し。両手のひらで混ぜ合わせないほうが〝肌温3秒溶け〟の心地いい感触が肌の上で味わえます。とにかく、とろけ具合が最高! 浴室で乾いた手ってなかなか面倒ですが、メークをオイルで落とすものなので、先に水に触れてしまうと乳化してちゃんと落ちなくなってしまうから、死守しています。保存するときも容器の中に水が入らないように注意。落とす延長でマッサージもしてリフトアップ効果をさらに出すようにし、私はこの後、手持ちのウォッシュで洗顔しています。ツボクサエキス、つまり流行りの「CICA(シカ)」成分も配合されていて、ゆらぎ肌にはとてもいい! メークしていない時に使ってもOKです。
『JJ』時代から美容を担当。 スーパーモデルブーム、 日本上陸前のM·A·Cをブレイクさせる。愛ある視点で厳しく化粧品を選び、「コスメは感動!」が信条。美ST ONLINEでの連載「30年目のコスメ愛」も好評。
2021年『美ST』1月号掲載 撮影/河野 望 イラストレーション/大沢かずみ 編集・文/石原晶子