産婦人科医に聞く【ピルの真実①】避妊だけじゃない!生理のイライラも解消されるって本当?
避妊目的って思いがちなピルですが、他にも毎月の気持ちのゆらぎが改善したり、婦人科系の病気が予防できたりと女性として見逃せないメリットもたくさん。
JJ突撃貴社のしもにゃんが産婦人科医の高橋先生に、心地よく過ごすために知っておきたいピルの知識、聞いてみました。
低用量ピルの真実②はこちら
JJ突撃記者 しもにゃん
都内私大3年生。
新しいこと好きが高じて、忙しくて猫の手も借りたいJJ編集部にスカウトされ突撃記者に。
カラダの知識は、保険の授業か、友達の噂話がもっぱらの情報入手先(が、関心はMAX!)。
大学2年生から付き合っている彼もいる。
目標は、同級生に差をつける大人のイケてる女性!
1人称はミー。
今回の専門家
東邦大学医療センター 大橋病院 産婦人科 高橋怜奈先生
世界初の女医プロボクサーとしても活躍中。
ダイエットや食事療法、運動療法のアドバイスも行う。
最近はYouTubeでの発信も力を入れて活動。
水曜日は四谷レディスクリニックでも診療にあたる。
真実1
避妊だけじゃない、低用量ピルは婦人科系の予防にもなる
しもにゃん
最近友達の間でもピルが話題になることがあるけれど、避妊もできるし生理もこなくなるし、いいことしかにゃいイメージにゃ。
ミーも飲んでみようかにゃ?
高橋先生
本当に最近になって、ピルって身近になったよね。
でも女子たちの中では、生理のコントロールに飲んでいても、世間的には避妊のためというイメージも強いみたいだね。
しもにゃん
そうですにゃ。
性に奔放なビッチな子みたいなイメージも若干あって、飲んでいても大っぴらには言わない雰囲気はあると思うにゃ。
高橋先生
もちろん避妊もできるけど、生理のコントロールとして飲んでいる子の方が多いよ。
PMSや生理痛の悩みも解消されるから、悩んでいる子には試して欲しい治療のひとつなの。
しもにゃん
わずわらしい生理がなくなるなら飲んでみたみたいにゃ。
高橋先生
正確に言うと、生理のタイミングをコントロールをするというのが正しくて、生理が来なくなる訳ではないの。
ピルはいろいろなタイプがあって、1カ月に1回生理を起こすものから、数カ月に1回生理を起こすものなどあるので、産婦人科医と相談してみて。
しもにゃん
ピルって生理のコントロールのほかにも、いいことがあるのかにゃ?
高橋先生
ピルにはさまざまな病気の予防効果もあるの。
例えば生理のときに出血量が多くなってしまう過多月経を改善したり、生理を繰り返すことでリスクが高まり不妊の原因にもなる子宮内膜症の予防、あとは卵巣がんの予防にも。
しもにゃん
がん予防にもなるのか! ピルって実はすごい薬なんだにゃ。
高橋先生
生理が軽くなれば月経困難症(生理時の頭痛や腹痛)も改善できるし、排卵を抑制するから卵巣の壁をきれいに保つことができて卵巣癌の予防になるの。
あとは男性ホルモンの作用を抑えるタイプのピルを服用すると、肌荒れやニキビがよくなるという人も多いよ。
真実2
ピルを飲むと妊娠しづらくなるという噂は嘘だった!
しもにゃん
でもピルを飲むとよくないこともあるんですよね?
こんなにいいことばかりなんて!
裏があるに違いないにゃ!
高橋先生
よく妊娠しづらくなるという噂を耳にするけれど、医学的な根拠はないですよ。
むしろ海外のデータでは長期間ピルの内服をしていた人のほうが、ピルの内服をしていない人に比べて妊娠しやすさがアップしたというデータもあるの。
ただもちろん注意点はあるのよ。
しもにゃん
え、なんか怖いにゃ。
どんなことがあるのかにゃ?
高橋先生
ピルの飲み始めは、ホルモンの内服によって、一時的に胸の張りや吐き気を感じる人もいるの。
でも大抵は飲み進めていくうちに治まる事が多いの。
あとは血栓症のリスクが、内服していない人に比べると上がるので注意が必要ね。(妊婦や産後の方はもっと上がります)
子宮頸癌のリスクが上がるというデータもあるけれど、それはHPVワクチンで予防ができるし、子宮頸癌検診を受けていれば早期発見、早期治療につなげることもできるよ。
しもにゃん
やっぱりおいしい話だけじゃなかったにゃ。
高橋先生
閃輝暗点(※)など前兆を伴う片頭痛がある人や35歳以上で1日15本以上たばこを吸っている人なども飲めないわね。
さらに手術前後から飲めない事もあるので、手術を控えている人は必ず医師に相談しましょうね。
ほかにもリスクのある人や禁忌といって飲めない人もいるので、医師とよく相談をしましょう。
(※視野の中央部にキラキラと輝く点が突然あらわれ、ギザギザ模様から波紋状に広がり模様で視界が遮られる症状)
しもにゃん
産婦人科では何てお願いしてもらえばいいんかにゃ?
理由も聞かれるのかにゃ?
高橋先生
「ピルを処方して下さい」と言えばいいよ。
ピルを服用したい理由(避妊目的や生理痛改善目的、肌荒れ改善目的など)によって選ぶピルも異なるので、ある程度は問診で理由を聞くことはあるけれど。
肌荒れとか生理痛など持っているお悩みを相談したら、あなたに合うピルを処方してくれるわ。
しもにゃん
産婦人科って、内診はマストなイメージがあるけれど、どうですかにゃ?
高橋先生
実はピルの処方には必ずしも内診が必要なわけではないの。
どうしても内診がイヤならば、生理痛など症状がある場合にはできたら診察して原因を調べたほうがいいけれど、心の準備ができてから次回の診察時でも大丈夫だし、強制ではないのよ。
それにセックスの経験がない人に内診をすることはまずなくて、お腹の上からの超音波検査などもできるから、内診が必須というのは誤解だよ。
しもにゃん
そっかー、いろいろな選択肢があるんだにゃ。
高橋先生
ピルって毎日飲まないと効果を発揮できないので、毎日コツコツ飲むということが難しい人は飲み忘れに注意が必要ね。それから! とても大切なことなんだけど、性感染症の予防効果は全くないから、SEXのときはコンドームをつけるのは忘れずに。そこはキチンと理解してね。
Special Thanks_
Photography_Kozue Okada
Illustration_Takuji Kuribayashi
Text_Hiromi Kawabata
Design_Yoshitatsu Yamaya<Ma-hGra>
Composition_Sonoko Kuraishi