子供の“行かない!”“やめたい!”発言にどう返すのが正解?
やりたくない、できない、やめたい…! ちょっとしたことで子供の口から飛び出すガティブ発言。突っぱねてはダメ、受け止めてあげることが大事とわかっているけど、どんな言葉を返すのが正解…? 子供に響く声かけについて考えました。
子供への声かけ本がベストセラーに!
石田勝紀さんに聞きました
◉石田勝紀さん
1968年生まれ。(一社)教育デザインラボ代表理事、都留文科大学特任教授。20歳で起業し学習塾を創業。これまで5万人以上の生徒を指導。現在はMamaCafé、執筆、講演活動を精力的に行っている。『東洋経済オンライン』連載(累計9100万PV)、子育て世代に話題の『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』(集英社)等の書籍、メディアにも多数出演。公式サイト http://www.ishida.online
●5歳女の子
「男の子とは遊びたくないー!」
ママの悩み:近所のお友達が誘いに来ても、女の子がいないと断固拒否。「断られたら〇〇くん悲しいよ、いろんな遊びをしてみるのも楽しいよ」と諭しても響かず…。一人っ子のため、自己中心的に育ってしまったらどうしよう、と心配に。
先生からのアドバイス▶▶▶
説得モードは通じません!
子供の好き嫌いも尊重してあげて
「そうなんだー」と受け入れる。「そう、〇〇くんと遊びたくないんだね」と子供の言葉をそのまま繰り返す。子供の今の心の状態を尊重、満たしてあげたら、そのうち気が変わってその子と仲よく遊んでいることも。その際も「なんで? 遊べるようになったの?」などしつこく聞かないこと!
●4歳男の子
「公園行きたくない!おうちがいい」
ママの悩み:「公園行こう!」と誘っても、全然のってこない息子。スポーツ少年にしたいのに、インドアまっしぐら。あまりに家でダラダラされると運動不足も気になるし、どう声をかけたらのってくれるのか全然わかりません…。
先生からのアドバイス▶▶▶
公園を目的にせず、さらっと
外に出るきっかけになる声かけを
「そう、行きたくないのね」、と返して家で遊ばせてあげる。余計なことは言わないで心を満たしてあげたら、やがて自分から出ていきます。「買物で外出るけど一緒に行く?」など、何気なく誘ってお出かけの習慣づけをしていけば、出かけるようになってきますよ。
●3歳女の子
「スイミングもうやめたい~!」
ママの悩み:「行きたくないー!」と玄関で号泣しても、行ったら案外普通にこなしていたりするので判断に迷う。やめたい!と言われてそのままやめさせたら、何でもすぐに投げ出してしまう子になってしまうんじゃないかと不安です。
先生からのアドバイス▶▶▶
やめたかったらやめてもいい。
習い事は更新型の発想が◎
習い事は「試食」と同じ。好きなものを徹底して追求ささせるために、合うものを探している過程と捉えましょう。「1カ月だけやって決めよう」と最初にやめるタイミングを決めておくのも◎。子供がやりたいなら更新するスタイルにすると、ママの気持ちもラクに。
●4歳男の子
「〇〇くんが意地悪言うから
保育園もう行かない」
ママの悩み:「なんて言われたの?」と聞くと大抵些細なことで、寄り添って話すと落ち着いて意外とあっさり登園。でも、たいしたことないと笑い飛ばしたら実はいじめとか、本人が本当に辛かったらどうしようと急に怖くなることも。
先生からのアドバイス▶▶▶
ほとんどが一時的なもの。
焦って大ごと化しないことが大事
保育園での出来事は先生に事情を話してまずリスクヘッジを。親が焦るのは厳禁、一時的なものと受け止めて過度に深刻にならないこと。親の雰囲気は言葉以上に伝わります。「嫌だったね、何かあったら先生に相談しようね」と軽いテンションで話して安心させて。
●5歳男の子
「こんなことできないなんて
僕はバカだ!
もうこんな世界嫌だ!死にたい!」
ママの悩み:絵が上手く描けなかったり、ちょっとしたことで自分を責めるネガティブ発言につながることがしばしば。なるべく穏やかに優しく受け止めようとしているけど、あまりにドキッとするきつい言葉だと精神的にこたえます。
先生からのアドバイス▶▶▶
暴力的なきつい言葉には反応
しない、スルーするのが正解
子供のきつい言葉に反応したり、諫めようとしたりすると、余計に言います。一過性のものとして捉え、暴力的な発言は完全に無視。逆にポジティブな発言にはしっかり反応しましょう。それを繰り返すうちに、次第に乱暴な言葉は減ってくるはずです。
●5歳女の子
「クラスで私だけ
前回りができないの、、」
ママの悩み:前回りができないことで体操がある日は朝からぐずぐずモード。「練習しよう!」と言ってもできない!の繰り返し。やる気のない姿を見るとつい、「練習しないとできないよ!」ときつく言って後から自己嫌悪に…。
先生からのアドバイス▶▶▶
「できるようになりたい? 今のままがいい?」
記述式ではなく選択肢を出してあげて
「練習しなさい」ではなく、子供に選ばせてあげるのが大事です。「できるようになりたい」と言われたら、「じゃぁ一緒に練習する?」「一人でやりたい?」と選ばせて、次は「今日やってみる?」「明日にする?」という風に。選ばせることが主体性を養うことにも繋がります。
“子供のやりたいように、
とことんやらせる寛容さが大事。
そのためにも、ママの心がまず満たされていないと。子供のことをそんなに丁寧に見なくて大丈夫だから、自分の心をワクワクさせることに時間を使いましょう!”
ママはみんな真面目で子育てに一生懸命。でも子供を丁寧に見すぎると、細かい部分、マイナスな面ばかりが目についてしまいがちです。子育ては大まかに見る方がプラスが見えてきます。子供のネガティブ発言が気になるなら、まず、子供がやりたいことを徹底的にやらせてあげる。心を引き上げてあげると子供はのってきます。一旦満足することで、いやだったことも受け入れられるようになるんです。「〇〇してほしい」気持ちを抑えて子供のやりたいようにさせるには、ママの心を満たすことが先決。自分の心をワクワクさせることに時間を使いましょう。穏やかな心だとネガティブな発言に対しての受け取り方も自ずと変わってきます。子供のネガティブを真正面からではなくふわっと受け止めることができたら、子供も意固地にならず前向きになったり、自然とよい方向に変わってくるはずです。
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取材・文/北山えいみ 編集/鈴木恵子
*VERY2020年11月号「受け止め方を変えるだけで、もっと子供は成長できる! 子供のネガティブな声の受け止め方」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。