聞きづらいことを産婦人科医に聞きました。【閉経前のホルモン治療】Q&A
女性だったらいつかは訪れる「閉経」。生理のある・なしは女らしさとは関係ありません。女性ホルモンを補って、閉経機関までソフトランディングしていくことがポイント。なかなか聞けない閉経のあれこれを産婦人科医の先生に伺いました。
欧米ではピルを使う人は8割も。日本人ももっとホルモン治療を知るべき
現代女性の置かれている共通の課題は、排卵と月経の回数が多すぎること。寿命が伸びたので、卵巣寿命が切れても体は生きますし、出産回数が少なくなったので卵巣は昔の女性に比べ10倍近い500回程排卵しているんです。これだけで卵巣や子宮内膜にとって負担が大きく、子宮内膜症・子宮体がん・卵巣がん・乳がんなどが増える原因に。女性ホルモンを補い、卵巣を休ませてあげる期間がある方が、体の負担が少なくなります。子宮内膜症や月経困難症のトラブルが女性を生きにくくし、働きにくくし、不妊にもつながっています。それをクリアするには上手にホルモン剤を活用し、予防できる方法を知ることなのです。
\女性の体の負担を減らし病気のリスクも下げます/
女性が自信を持って自分らしく生き、人生のクオリティを上げられるよう心と体のメンテナンスに寄り添ってくれる。年代別の検診メニューも充実。
対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座 中央区銀座2-6-5 銀座トレシャス7F ☎03-3538-0270
Q. HRTってリスクがありそうですが大丈夫?
HRTは効果が高いと聞くので興味がありますが、がんのリスクが上がるそうなので心配です。具体的にどんなリスクがありますか?。
A. リスクより大きなメリットが
使用が5年以内であれば乳がんリスクは上昇しない、プロゲステロンの併用で子宮体がんのリスクも上昇しないことが今では定説で、喫煙や運動不足による乳がんリスクに比べても低いのでかえってHRTをすることで大腸がん・骨折・認知症のリスクは下がり、骨折も4割減ります。
Q. ホルモン療法って何歳までやるものですか?閉経まで?
女性ホルモンは閉経に向けて減る一方だと思いますが、いつまで続けると良いでしょうか?
A. 年齢に合わせて目的を変えて一生使えます
月経がある間は月経困難症など辛い諸症状を緩和し、更年期には急激なエストロゲン低下に体を適応させる手助けのために。更年期を抜けるとホルモンの変化による不調はなくなり美肌や骨の強化、睡眠の質を上げる目的で使う方も。
Q. ピルをやめたら、また以前のようにPMSが復活したり、経血量は増えますか?
ピルを続けるようになってPMSの症状が治まっています。もうやめても良いのかなと思いますが、不安もあります。
A. 他の選択肢に移行してみるのも手
ピルをやめると元の症状に戻ってしまう方がいます。HRTに移行を。経血量を減らすにはミレーナが役立ちます。漢方やサプリの併用も可能です。
Q. 低用量ピルを服用中ですが、何歳まで飲み続けられますか?
効果は感じているのですが、いつまでピルを飲み続けるべきなのか、そろそろやめるべきなのか悩んでいます。
A. かかりつけ医に相談しながらタイミングを計って
45~50歳の間に徐々にピルをやめて、HRTに移行していきます。ただ、HRTにすると排卵のコントロールができないので、PMSの状態が戻ってしまうこともあるので、かかりつけ医と相談しながら進めてください。
Q. もうすぐ閉経?経血量がすごく増えてしまって体調がすぐれません……
生理が毎月ではなく隔月になってきました。もともと子宮のトラブルはありますが、急に経血の量がかなり増えていつも調子がスッキリしません。
A. 検診を受けてから内膜の状態を見てピルを使い経血量のコントロールを
一時的に低用量ピルや中用量ピルを使って出血をコントロールできます。閉経前は急激に子宮筋腫が大きくなる人もいるので、検診を受けて超音波や内膜の状態を見ながら経血量のコントロールをした方が良いでしょう。
2020年『美ST』11月号掲載 取材/佐藤理保子、菊池真理子 編集/長谷川 智、佐久間朋子