宇野さん：フラれた直後の乙女心を、言葉を選ばずに書き出しました。別れて時間が経てばキレイな思い出に変わるかもしれないけど、失恋直後の女性の心ってそんなにキレイじゃないし、ものすごく痛い。その温度感を伝えたかったので、割とストレートに表現することを心掛けました。これまでの楽曲に比べてもかなり切なくて、心がえぐられるような歌詞になっていると思います。

喧嘩のシーンは壮絶でした。事前に監督と山田さんと3人で、「喧嘩するときってこうだよね」とか「取り乱すとどうなっちゃうタイプ?」というキャッチボールはしていたものの、始まってみないと見えない部分も多くて。唯一、“別れる”っていうゴールは決まっていたので、撮影に入ったらそこに向かってひたすらぶつかり合う感じでしたね。ものすごく苦しいって思いながら演じていたので、このシーンは忘れられません。

喧嘩のシーンは本当に生のセッションっていう感じでしたね。発している声のトーンも言葉もリアルそのもの。僕自身は設定だけを背負って、あまりお芝居と思わず、宇野さんから出てくる言葉をちゃんと聞いて受けて取って、感じたことをリリースするスタンスを意識していました。

私にとっては、人生史上一番の喧嘩だったかも(笑)。

確かに、あんなにぶつかり合うことってなかなかないですよね。あと僕は2人の距離が近いシーンも印象に残っています。後ろからツンツンとか、2人で一緒に歯磨きをしていたりとか。台本に書いてないけど、こうしたら素敵なカップルに見えるだろうなって思う動作をアドリブでやらせてもらったりもしました。歯磨きシーンは横並びだと普通だから、「宇野さんが前にいて僕のアゴを宇野さんの頭に乗せるっていうのがやりたい」とリクエストしたんです。

アゴ乗せ歯磨き、みたいな。ちょっと照れくさいけど、是非カップルにやって欲しいです。

その鏡を見てるのがいいですよね、2人で。

本当の恋愛ってびっくりするような奇跡が起きるし、最高の幸せに出合えるけれど、お互いの気持ちが本気だからこそ、心と心がぶつかって壊れていくのかなって思います。それが恋愛の意地悪なところですよね。思い切って向き合って、それでもダメになってしまった恋は本当に好きになった証。その分、傷つき方も大きいけれど、心のままに恋するからこそ、ダメと分かっていても繰り返しちゃうのかなと思います。

今作はいつも以上に自分と向き合って、言葉を選んで作り上げ、自分の中でも挑戦になった楽曲です。キレイな言葉ではなくストレートで率直な言葉だからこそ、共感してもらえるものを作りたいと思っていました。山田さん始め、みなさんにこの想いを表現していただいたので、この曲を聴いたり、MVを見てもらって、思い出す人がいたり、失恋を乗り越えるきっかけになったらうれしいです。

個人的にしっとり系のバラードは好きなので、実際にMVを見て「切ないー!」ってなりました。恋愛を通して誰もが感じたことのある苦しさや悲しさに寄り添える曲でありMVだと思うので、たくさんの方に届いてほしいです。