嬉しい美容効果も♡さむ~い冬に食べたい都内【種物蕎麦】の名店3選
肌寒くなる季節はお蕎麦も温かいものをいただきたい。気軽に楽しめて、ちょっと豪華な具材も魅力的な温かい蕎麦の名店を、都内から厳選しました。
大粒・プリプリの牡蠣を口いっぱい頰ばる至福
気さくな感じのうどんに比べて、どこかストイックなイメージがつきまとう、そば。通が食べるのは「もり」や「ざる」で、具がのっかった「種もの」なんて粋じゃないなどと言われそうだが(別に言われてもいいが)、そんな心配は無用。種ものは江戸時代から存在する伝統食であり、むしろ老舗のそば屋ほど、種ものを大事にしている。そば、つゆ、具の三位 一体にかける職人の心意気を感じつつ、気軽に楽しく味わいたい。浅草・浅草寺の裏手にある「弁天」は、三代目の店主が切り盛りする、下町の名店。はす向かいには浅草見番があり、時折、あでやかな芸妓さんが行き来する様子も見られる。そんな花街のそばは、やはりどこか華やかだ。種ものも、はまぐり、にしん、秋の松茸など、心ときめくラインナップだが、冬に一度は食べておきたいのが「かき南そば」。厳選した大粒の牡蠣が5〜6粒も入った、ボリュームたっぷりの一品だ。牡蠣に片栗粉をまとわせてからつゆに加え、旨みを逃さずプリプリの食感に仕上げる手法は、先代が考案したものだという。ふくよかなその身を箸でしっかと挟み、そっと口に滑り込ませると、磯の香りとミルキーな旨みが一気にスパーク。かつお の風味豊かなつゆとともに、最後の一滴まで堪能したい。
かき南そば 税込¥1,500
弁天
東京都台東区浅草3-21-8 ☎03-3874-4082 営業時間11:30~20:40(L.O.)、天ぷらは20:30(L.O.売り切れ仕まいあり)水曜定休(月に1度、第3木曜または第4木曜休み)
江戸っ子が好んだ海苔の香りに包まれて
一方、「つきじ 文化人」は、若き店主が作り出す、江戸情緒を感じさせる種ものに定評がある。昔ながらのおかめ、かきたま、明太子を紅葉に見立てた紅葉子そば、写真の「花巻」も、江戸伝統の種ものだ。その名の由来は諸説あるが、かけそばに焼き海苔を散らした様子が、花びらのように見えるからとも。同店では、パリッとした有明産の海苔を使い、わさびを 小皿で添えている。味だけでなく香りを楽しんでもらうため、蓋つきの器で提供。蓋を取ったときに、ふわりと立ち上る磯の香りは格別だ。すっきりとしたつゆに海苔が浸って、しなしなとしてきたところにわさびをちょんとのせてすすれば、また爽やかな風が吹く。
花巻(上)¥1,080
つきじ 文化人
東京都中央区築地1-12-16 プレミアム銀座イースト1F ☎03-6228-4293 営業時間11:30~13:30、17:30~21:30(ともにL.O.)日祝定休(月曜不定休)
清爽な香りの仙台せりと鴨の旨みが超絶マッチ
西麻布の交差点から歩いてすぐの「おそばの甲賀」は、こぢんまりとしながらも洗練された雰囲気の人気店。明治から続く老舗「赤坂砂場」で修業した店主が切り盛りする。そばは開店当初から埼玉県三芳の農家から直接取り寄せているそうで、美しい鶯色が特徴。その約9割を極細挽きに、残りの約1割を粗挽きにして打ち、茹でたあとはしっかりと冷水で締めることで、滑らかなのど越しと、香り・味わいの豊かなそばに仕上げている。種ものでは、豚肉に黄にらを合わせた豚にらそば、卵とじに山いものとろろと青のりをあしらった山とじそばなど、ひとひねりあるメニューが楽しく、例年、11月初旬から登場する「鴨せりそば」も見逃せない。しっとりと焼き上げた鴨に、みずみずしく鮮烈な香りの仙台せりを合わせたもので、上品な鴨の脂が溶け込んだ香りのいいつゆも、ごちそう級。寒風が身に染みるこれからの季節、お腹の底から温まる逸品だ。
鴨せりそば ¥1,800
おそばの甲賀
東京都港区西麻布2-14-5 ☎03-3797-6860 営業時間11:30~14:15、17:00~20:30(ともにL.O.)※最終入店20:15 日・月曜定休
2020年『美ST』1月号掲載 撮影/田村浩章 取材/伊藤由起 構成/伊達敦子 ※各店のデータは取材時のものです。