CLASSY.名物企画『着回しDiary』の舞台裏【ストーリー編】|担当編集&ライターが制作過程を暴露

CLASSY.本誌の大人気企画『着回しDiary』。独特なストーリー展開で、「もはやファッション誌というより読み物」など、読者からも多くの感想をいただいています。ストーリー設計から実際の撮影現場まで…気になる舞台裏を、CLASSY.ONLINE新米編集・平賀が突撃取材!10月号の『着回しDiary』を担当した編集・月田とライター・野田春香さんに取材してきました。
第1回目は、「ストーリー設計」について。ぶっとんだ設定のストーリーは、いったいどこから着想を得ているの?元ネタは?その秘密に迫ります。

担当ライターによって、主人公の運命が左右されがち!?

(左から)編集月田、ライター・野田さん

平賀(以下、平):着回しDiaryは、私もCLASSY.に入る前からTwitterでことあるごとに話題になっていたので注目していました。毎月「またやってるよCLASSY.」と言われているイメージですが(笑)、やはり反響は気になりますか?

ライター・野田(以下、野):めっちゃツイッターでエゴサしますよ!(笑)自分が担当した回がバズってるとやっぱり嬉しいですね。

平:着回しDiaryって、毎月固定で担当が決まっているんですか?

編集・月田(以下、月):CLASSY.は班体制をとっているから、基本的に編集とライターは同じ組み合わせになることが多いのね。それで、毎月のプラン会議で「着回し特集をやりたい!」という編集&ライターがプランを出して、採用されたらその月の着回し担当になる…という感じですね。このタッグでは5回目とか?

野:そうだね。基本的にはライターの私がストーリーの大筋を提案していて、決まったらつっきー(月田)と2人で膨らませていく、みたいな。

平:なるほど。回によって担当が変わっているわけですね。ライターによってクセとかってあるんですか?

野:ああ〜、それはもう如実ですよ!だいたい、私は「ドロドロ」担当なんです(笑)リアルで辛辣な恋愛話はだいたい私で、基本的にはバッドエンド。

月:確かに!野田ちゃんの回は主人公がズタボロになりがち(笑)

野:逆に、狐男とか妖精とか宇宙旅行とか、ファンタジー系といえばティナ(ライター・棚田トモコ)さんですよね。あちらは、ボロボロだった主人公が最終的にハッピーエンドになる展開が多い。

平:なるほど、ライターさんによって主人公の明暗が別れると。でも本当、野田さんの書くストーリーは「こういうやついる!」「こういう失恋話ある!」というリアリティがすごいですよね。

「私の書く恋愛ストーリーは、ほぼほぼ実話で構成されています」

まさかの“寝取られ”オチ!(『CLASSY.』2019年12月号)

平:毎回繰り広げられるドロドロ恋愛劇場ですが、ネタはどこから思いつくんですか?

野:私の場合は、最低1カ月に2人くらい、OLさんに取材するようにしています。「最近どんな恋愛してます?」とか「いい出会いありました?」とか、他愛もない話から面白い話が拾えたりするので。「この話、着回しに使えるな」って感じでストックを蓄えていますね。

平:え!あの辛辣なエピソードの数々が実話だったなんて…。ドラマみたいですね。

野:そうなんです、恐ろしいことに(笑)周りの友達の話も使います。以前、バズった「11月17日2時の時点でちえが一番好き。でも、明日はわかんない」というセリフも、実際に友人が言われたものなんです。

Twitterでバズった名場面(『CLASSY.』2019年12月号より)

平:あのセリフも実話なんですか!?

月:そういう時って、友達に「ネタに使っていい?」って許可を取るの?

野:一応とりますよ!モラハラ男を登場人物に出した時も、「俺、モラハラなんだよね」と自己申告してきた男友達がいたので、その子に話聞いて人物像を作ったりだとか。

相手の男性がだんだんモラハラ気質に...?(『CLASSY.』2020年1月号より)

野:逆に、「今回の着回しの反応はちょっと微妙だったかも…」と振り返る時は、だいたい取材が十分ではなかった場合が多いですね。人物像やストーリー背景を掘り下げきれていないと、読者に興味を持ってもらえないのだな、と痛感します。

月:やっぱり、CLASSY.の着回しにはライターさんのこだわりが必要不可欠ですよね。

全力で“こだわる&楽しむ”のがCLASSY.流

2人が手掛けた着回し企画の数々

平:着回しのコーデやテーマは、ストーリーありきで考えるんですか?

月:どちらかというと、その号の特集会議で「今月はこういうテーマで雑誌を作る!」と決まったものに対して、「じゃあこういうストーリーでいこう」と企画を立ててプラン会議で提出する方が多いかな。それで、正式に担当になったら編集とライターで細かく設定を詰めていくという感じ。

野:例えば「今回の着回しのテーマは“ピリ辛ファッション”だ!」となったら、「ピリ辛といえばロックバンドだ!→あれ、そういえばバンドマンに捨てられた友達がいたな。→よし、このストーリー使っちゃおう!」みたいな(笑)

この回は、バンドマンを追っかける女子の話でした(『CLASSY.』2020年2月号より)

平:ああ!あの話もとても衝撃的でした。実話だったんですね!

月:リアルに「今からホテル来れる?」とか言われてたみたいです(笑)

平:どうりで描写が生々しかったわけですね(笑)。やっぱり普段から貯めておく引き出しが大事ですね。恋愛話ストックというか。

月:リアルな話の方が設定も詳細に浮かべやすいし、細かく作り込め作り込むほど「どんな画を撮りたいか」というイメージが明確になっていく。そうなると、話し合ってるうちに面白いアイデアが後からポンポン生まれていくんだよね。

野:例えばこのバンドマン回でいうと、編集のつっきーがラストシーンを「階段から降りている感じで、映画の『JORKER』みたいなカットが撮りたいよね」ってなったの。

これが、ノリで生まれたというラストシーン!(『CLASSY.』2020年2月号より)

月:で、気がついたら「『JOKER』を全カットにさりげなく登場させたら面白いんじゃない?」って盛り上がっちゃって(笑)

野:結構その場のノリで決まることも多いよね。ちなみにこのJOKERはロケバスさんです(笑)もう、スタッフ総出でノリノリ。

月:CLASSY.は着回し企画に関しては「面白ければ面白いほどいい!」というスタンスだから、「これはイメージ的にダメ」というような制約が少ないんだよね。前任の編集長の時代から着回しはイケイケGOGO!」って感じだから、こちらものびのびとやらせてもらっています(笑)

野:そう。あと、「このカットは絶対に欲しい!」と思ったらロケ地や小道具も絶対に妥協しない。細部まで遊びを入れ込んでこだわっていますね。現場を巻き込んで全力で楽しんじゃってる(笑)

月:本当に着回しの企画はやっていて楽しいよね。この楽しさが、読者のみなさんにも伝わっていればいいなと思います。

着回しDiaryのストーリー制作の秘密がわかったところで、今回はここまで。次回は、着回し企画を進める上でのスケジュール・工程を実際にご紹介します!お楽しみに。

構成/CLASSY.ONLINE編集室