子どもが夕食をつくれるようになる!食育のプロが教える「親子料理講座」〈5:配膳編〉

つながるキッチン主宰の中原麻衣子さんによる、誌面親子料理教室。最終回は心を込めて作った手料理を、おいしくいただくために知っておきたい、「配膳」についてです。

お茶碗とお椀の位置正しく覚えましょう

質問です。ご飯を盛り付けたお茶碗は、食卓のどこに置くべきでしょうか?
大人な方でも、一瞬わからなくなってしまうという声も聞きますが、「左にご飯茶碗、右に汁ものの入ったお椀」が基本形です。

食事のあげさげに便利なのは、お盆(=トレイ)。おかずや小鉢は2列目。お箸は、箸置きに乗せ、手前に並べます。これが和食の基本形の盛り付け方です。

ごはん、お味噌汁、野菜炒めを並べました。「いただきます!」

お箸の使い方もぜひマスターしましょう

2本のスティックを器用に使い、モノを掴む。みなさんはお箸はしっかり持てていますか? 正しく箸を持てるとどんなものでもつかみやすく、より食べることも美味しく感じられるはずです。正しい持ち方はこの通り。

ぜひ、一度チェックしてみてくださいね。つながるキッチンでは、オンラインでも箸の持ち方レッスンを行っていますが、お子さんだけでなく、正しい持ち方を身につけたいという大人の方にも、たくさん参加いただいています。

「いただきます」「ごちそうさま」食べることに感謝

なぜ、「いただきます」「ごちそうさま」と手を合わせるのでしょうか。何も言わずに食べる人がいたり、人も言わずに食卓を離れる人を見ると、とても残念な気持ちになります。
食事というのは、「命を頂くこと」です。動植物への敬意を払う、心に余裕をもって感謝する気持ちを忘れないようにしたいなと、私自身もいつも思います。食べることへの感謝もぜひ感じてくださいね。

「ごはんづくりにチャレンジしたお子さんたちへ」

いつもお母さんやお父さんが忙しい中、ご飯を作っていることに感謝をしよう。そしてお手伝いをしよう! きみがほんの少しお手伝いしてくれるだけで、家族で囲む食卓は間違いなくスペシャルな食卓へと変わり、家族が喜んでくれるに違いありません。

「お子さんたちを見守っているお母さまお父さまへ」

日々忙しい中、毎日毎日食事を用意することは大変ですよね。時に手を抜きながら、食卓は団欒の時間として、楽しい場所であってほしいと思います。テストのことや勉強のことは、時に置いておいても! そして、ぜひお子さまが「食」や「料理」「お手伝い」に興味を持ち始めたらどんどんお手伝いをさせてあげてください。完璧なものを求めず、ほんの一部を手伝わせてあげるだけでいいのです。そして、食卓にあがってる料理を見て、「あ、これは〇〇ちゃんがお手伝いしてくれたサラダだね!おいしそうだね~!ありがとう!」など、自分がこの料理に関わったんだ。ということを実感させてあげてください。忘れてほしくないのが「ありがとう」です。失敗しても、うまくいっても、この言葉をかけてあげたいですね。家族に感謝される体験は、心を育てるうえで本当に大切です。自己肯定感が低いお子さまが多いと言われる日本、いっぱい褒めて、いっぱい感謝して、成功体験として記憶に残るとうれしいなと思います。


 

5回にわたり連載を読んでいただきありがとうございました。
自身の子育て実体験から組み立てていった「つながるキッチン」ですが、子供たちの目線に立って、どんなときも声をかけ、手を出すように心がけています。

大人が一歩二歩先の道を作ってあげることは簡単ですが、本人の「want(~がしたい)」の気持ちがとても大切。そこに重きをおいて子供たちを大らかに見守り、育てていけたらと思います。つながるキッチンは様々な対面レッスンのほか、2歳から参加できるオンラインの料理教室も開催しています。子供たちの好奇心を食で育む場としても、ママたちの息抜きの場としても、コミュニティとしても、愛して頂ける場でありたいと思っています。


中原麻衣子さん
台所文化伝承家/食育・受験フードアドバイザー
つながるキッチン 代表
https://tsunagaru.kitchen/
「身体は食べたもので作られる」を信条に、2012年に食育・料理研究家として事業をスタート。今まで2,000人以上の子供たちやその家族と食を通じて向き合っている。

※内容は小学校低学年以上のお子さんをイメージしていますが、もっと小さいお子さんは大人がさらに補助を、大きなお子さんなら、見守りつつ出来ることはどしどしやってもらいましょう。

取材・文/新里陽子