シングルマザーで息子2人を東大に導いた母親が教えてくれる7つのこと【子供たちを、どう学ばせるか】
このコロナ禍で、子供にどうやって学習習慣をつけさせたらいいか、悩んだお母さんは多かったのではないでしょうか。子供の勉強ひいては子育てに、母親として心がけるべきことは。息子さん2人を東大理科一類に現役合格させた、たかせみほさんにお話を伺いました。
1. おすすめは、幼少期から右脳と左脳を刺激して地頭を鍛えること
「幼児期の教育は大切だとはっきり言えます。教育に熱心だった義母の影響で3歳から『公文式』を始め、さらに自分で調べた幼児教室にも通わせ、右脳と左脳のトレーニングをしました。私が文系だったので男の子には理系に強くなって欲しいという思いから、百玉そろばんを買い、手で触れさせ、数字を感覚として体で理解させました。遊びの学びを組み込み、積み木やレゴを使って立体的な感覚も身につけさせ、自然と空間認識能力も鍛えるようにもしました。
その結果、小学校受験でペーパーをやる段階ではすでにスムーズに解ける状態になりました。子供の持つ能力を幼少期に最大限に高める努力をしておくと、後々楽になります。ベースがしっかりして入れば応用もできる。という考えから幼児教育で学習の土台作りをし、子供の基礎学力を高める努力をしました」
2. 怖いお母さんにならないこと。子供を信じ、ほめて励ますこと
「これは子育て中のお母様方に心から伝えたい。子供が萎縮してしまうと能力は発揮できません。間違えても、失敗しても、次に生かせば大丈夫と励ますことで、自己肯定感の高い子供になります。悪いことをした時はもちろん厳しく言うメリハリは大切だけれど、基本的には優しい雰囲気でいることが、子供に安心感を与えるのです。我が家ではリビング学習にしていたのですが、子供が困っていたら励まし、何かを達成したら褒め、手出し口出しはせずに見守る姿勢が、子供にとっても安心で集中できる環境だったようです。
中学受験をし、中高一貫校に入学した後は、サッカー部に入り、部活メインの毎日で、勉強は全然しない、テストは平均点ギリギリの状態でした。それでもいつかスイッチが入ってくれるだろうと信じ、うるさい事は言わず見守りました。子供らしく育って欲しいというのもあり、ガリ勉くんになるより部活や交友関係を深める時間も大切にして欲しかったというのもありますが。中高6年間の半分以上は大学受験までの充電期間くらいに思って子供が勉強に向かう日が来る時までゆったりかまえていました」
3.子供との会話を大切にすること
「日頃から子供とたくさん会話することで、何かに悩んでいたりつまずいていたりした時にも「話すきっかけ」が作れます。ニュースや子供が好きな漫画など話題を共有できるようにしていました。反対に話したくないようなことを無理に聞き出すこともしませんでした。長男が中学2年生の時に「いじられキャラ」な部分があり、同級生にからかわれてトラブルになったことがありました。その時は本人が何も話そうとしなかったし、大丈夫だという言葉を信じ、あえて聞きませんでした。
また、反抗期も当然のようにあり、心の準備はしていてもやはり戸惑います。反抗的な態度に「母親はいつもニコニコ太陽のような存在でいる」と決めていたのにそうは言っていられないくらい激しく言い争うこともありました。ただ反抗期は成長の証です。そのうち終わるし、子供も葛藤しながら頑張っているのだと思うと腹立たしさも消え反抗するその背中にもエールを送り続けました」
4.生活環境をころころ変えないこと
「子供の生活環境やリズムを安定させるために、家は学校から近い場所に、職場も通勤時間を減らせばその分、子供と一緒にいる時間も増えるので、子供優先で職場も決めていました。シングルマザーということもあり、母親が倒れてしまったら大変なので、残業が多いような会社の場合は迷わず転職も。子供の生活環境を維持するために職場を変えることにためらいはありませんでした。
また子供の成績が伸びないからと言ってすぐに転塾するようなこともしません。塾選びを慎重にした分、決めた塾は先生を信頼していたのと、経済的な観点からも色々な塾に通うというのは現実的ではなかったので、選んだ塾で最大限に実力が伸ばせるようにサポート。といっても母親にできることというと、体調管理とプリント類の仕分けくらいなのですが、帰宅したらすぐに勉強にとりかかれるように机の上をきれいに整え塾の大量の資料も常に取り出せるようにファイルに分け、常に勉強だけに集中できる状態にしていました」
5.子供のタイムスケジュールを作り、毎日をルーティン化すること。
「これが一番のポイントです。朝起きてから夜寝るまで、タイムスケジュールを固定化。病気の時以外は習慣として実行することで子供が次に何をすればいいか考えなくても行動できるようになる。母親が仕事をしたり料理を作ったりするのと同様に、当たり前のこととしてやると言う状態にしていました。
ただそれだけではモチベーションもあがらないので、最後に自由時間を作る。やるべきことが終わったら、ゲームでも漫画でも好きにさせる。それが小さな楽しみとなり、子供達も頑張っていました。習慣化するまでは、親も大変ですが、日によって流動的にすることなく、強い意志でぶれずに実行することが大切です」
6.シングルマザーでも教育はあきらめないこと
「子供に質の良い教育を受けさせること。これはこだわりました。シングルマザーで定職もなく、二人の子供を小学校から高校まで私立に通わせるのは大変です。それでも絶対に諦めたくなかった。教育だけは後から組み替えたり付け足したりができないからです。著書に詳しく書いていますが、そのために奨学金制度、県や都からの私立用の支援、教育ローンなど、調べ、利用できるものはすべて利用しました。
離婚をしたことがネックで、行かせたい、もしくは子供が行きたいと思っている学校があるのに諦めようとしているご家庭でしたら、ぜひ、諦めない方法を考えてみて欲しい。それだけ、子供の教育環境というのは何にも変えがたい大切なことなのです」
7.たくましくぶれない子育てをすること
「シングルマザーになるには覚悟がいります。周囲との関係も変わってきます。実際に友達が少なくなるし、ママ友も深入りしてこなくなります。その分、情報に翻弄されることもなくなりました。子供を守り育てるという強い覚悟で、周りに流されず、余計なことも耳にいれない。それがぶれずにいられた要因でもあります。スマホ依存の方に多いのが情報収集に躍起になって、流され、ぶれてしまう。その情報に子供も振り回されてしまうと家庭は安定しません。子供を信じ、自分自身も決してぶれないこと。シングルマザーの子育てにはより、そこのたくましさが必要なのです」
たかせさんの著書はこちら
取材を終えて…
「子供の教育をあきらめない信念」と「親としてぶれない強い心」、 そのたくましさを見習えたら…
撮影/丸益功紀(BOIL) 取材/小仲志帆