Part2 やっぱりずっと愛せるものがいいオリジナルがどう進化?〝新解釈〟itバッグ&シューズ
ひとつのバッグ、一足のシューズも、ブランドが持つ壮大な歴史背景の上にある。現ディレクターたちがひもとき、新解釈して生まれたアイコン的新アイテムは、その背景を知るとよりいっそう愛おしい。
LOUIS VUITTON
Women’s Artistic Director 二コラ・ジェスキエール
Women’s Artistic Director 二コラ・ジェスキエール
ルイ・ヴィトンのウィメンズ アーティスティック・ディレクターの座を、2013年にマーク・ジェイコブスから譲り受けたニコラ・ジェスキエール。パリジャンシックを得意とするフランス人の彼は、就任当初から〝ルイ・ヴィトンの伝統を受け継ぐ〟ことを念頭に置き、時にはデザインを通じてタイムマシーンのような役割を果たすことも。レトロ・フューチャリスティックなデザインも得意とし、’70Sのエッセンスを取り入れた春夏シーズンは、ブランドの多彩性を華々しく表現している。
靴・バッグにおいても、新旧の要素をつなぐスタイルがたくさん見られる。1976年に登場したアイコン的なショルダーバッグ「ドーフィーヌ」は、ニコラ・ジェスキエールにより新解釈されてエピ・レザーにアップデート。素材・デザイン、どちらもクラシカルな要素を現代に置き換え、未来的とも呼べるまったく新しいバッグへと生まれ変わらせた。
「ドーフィーヌ ミニ」ショルダーバッグ[H20×9×15㎝・ストラップ取り外し可]¥375,000(ルイ・ヴィトン/ルイ・ヴィトン クライアントサービス)
Salvatore Ferragamo
Creative Director ポール・アンドリュー
英国出身のクリエイティブディレクターのポール・アンドリューは今シーズン、ブランドの定番シューズである「ヴァラ」を再解釈。象徴的なグログランリボンをサイズアップさせシューズと同素材で作るなど、超モダンに変身させた。カラーパレットのように広がる「ヴィヴァ」は、建築物のような佇まい。ティアドロップ形のブロックヒールも計算し尽くされた美しさだ。人の足や歩行を研究して履きやすさをとことん追求し、〝スターの靴職人〟とも呼ばれたサルヴァトーレの魂はポールによって受け継がれ、新しいジェネレーションをも夢中にさせる。
Chloé
Creative Director ナターシャ・ラムゼイ=レヴィ
この2年、ブランドの舵を切るナターシャ・ラムゼイ=レヴィも美しきワーキングマザー。ニコラ・ジェスキエールとともにバレンシアガを改革し、ルイ・ヴィトンでも彼の右腕として活躍した実力の持ち主だ。流れるようなシルエットとテイラードを融合させたルックには、女性らしさを表現するアーカイブが新解釈されている。’80年代のモノグラムをバッグ内にジャカードで復活させたり、サークルモチーフをサンダルに取り入れたり。それは生粋のパリジェンヌであるナターシャが自然に修得した、フレンチガールの美学。
BALENCIAGA
Artistic Director デムナ・ヴァザリア
Artistic Director デムナ・ヴァザリア
「アワーグラス=砂時計」と題された構築的なバッグは、シグネチャーであるバスクウエストコートのカーブがインスピレーションの源。その底部分に過去と未来を行き来するデザインのトリックが隠されているようだ。
クリストバル・バレンシアガのオートクチュールに始まり、名だたるデザイナーによって大きな発展を遂げたバレンシアガ。その進化は止まらず、2015年にアーティスティック・ディレクターにジョージア出身の若きデムナ・ヴァザリアを迎え、新しいラグジュアリーのカタチを生み出した。時代の変化を鋭く観察しながらメゾンの歴史をなぞるヴァザリアの再構築、再定義、そして再編成。瞬く間にスニーカーもキャップも、そしてバッグも、世の中に溢れ出した。荘厳さをモダンに、優雅さをフェティッシュに塗り替えて、1世紀以上も生き続けるメゾンに新しい輝きを与えた。人が持つことによって最終完成する、次の時代を生きる人たちのためのデザインだ。
「アワーグラス」ハンドバッグ[H14×W23×D10㎝ショルダーストラップ付き]¥177,000[予定価格](バレンシアガ/バレンシアガ クライアントサービス)
取材・文/須賀美季 編集/澁澤しょうこ デザイン/小林義郎
Part1 バッグを毎日着替えられるのは
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心に余裕ができたから
Part2 やっぱりずっと愛せるものがいい
VERY[ヴェリィ]
オリジナルがどう進化?〝新解釈〟itバッグ&シューズ