ブランディングディレクター福田春美さんを引き付ける作家・清水士郎さん
清水士郎さんに会ってみたかった。
以前に画像で作品を見ていて、静かさと荒さと、漂うなんともいえないだるい重さ、そして挑戦感が気になって気になって、調べてみると若い作家だとわかった。
一体、こんな佇まいの器をつくる人はどんな人なんだろう……、と思って今回、ぜひにと勇気を出してメールをしたら、たった1行のお返事。
この人はいったいどんな人なんだろう……とちょっと緊張して訪ねた。
工房は古い古民家の様相。庭には穴窯?があり、たくさんの石や土が軒先に置かれていた。以前に彼の記事を読んだ時に、自分で採掘して砕いて、粘土状にして器を作っていると知った。
私がこれまで訪ねた作家さんで、自分で土から作る人は数人だけだったので、とても興味深く聞いてみた。そうしたら、「結構今、いますよ、自分で土からやっている人は」と飄々といわれた。あ、そうなんだ……、と自分の知識の浅さを反省。
この人には、まったく気負いを感じない。というか、ダルさも感じる。
私は最近出会う新しい若手の作家さんたちを勝手に〝ニューエイジ系〟と呼ばせていただいているが、彼はそのニューエイジ系のダルさ担当なのでは、と思うくらい(笑)。
ダルさと書かせていただいたが、決して悪い意味じゃなく、脱力系というか、肩の力を抜いてでもここまでの存在感を出せる……。ただもんじゃないな、と感じるばかり。
お爺様が使っていた窯を直し、近くの工事現場や駐車場でみつけた粘土質の地層をみつけると、そこから器にしてしまう。面白い試みを自然とやってのける。
そして彼が淹れてくれた中国茶も、アウトドア用のシングルバーナーを使って、その場でとてもきれいなお点前で淹れてくれた。新しい……。
この人は自然に新しい。ニューエイジ系を体現している存在だ、と感じた。今度、粘土作りなど、お手伝いにいってみたい。数日、弟子入りしてみたい……と思う若者だ。
福田春美
【プロフィール】
札幌出身。ブランディングディレクター。ファッションディレクターをして活躍したのち、渡仏。帰国後、ライフスタイル全般をブランディングするブランディングディレクターの活動を始める。現在、ライフワークの一環で、地元・北海道の若いクリエイターや埋もれたクラフトなどに光を当てるべく、こまめに道東へ通う日々。
文/福田春美 撮影/伊藤徹也 取材・コーディネート/柿本真希 構成/山田麻琴