アイドル時代から、独特の感性と表現に対する熱意を示し続けていた伊藤万理華。乃木坂46卒業から2年が経とうとするいま、「私がやりたかったものだ！」と思える舞台への出演が叶いました。話題の劇団・月刊「根本宗子」の過去最大規模といわれる公演を控え、今の気持ちを率直に語っていただきました。

 

――根本さんとお仕事されるのは初めてとお聞きしました。

そうですね。

 

――根本さんのことはもともとご存知でしたか？

はい。もともと周りに根本さんと知り合いの方がいたりで間接的には知っていたのに、ちゃんと話したことはなかったのですが、3年前に乃木坂46在籍時代に出演した『墓場、女子高生』という舞台を根本さんが観にきてくれて、そこで初めてお会いしました。
それから個人的に根本さんの舞台を観にいくようになって。共演した役者さんたちとか周りの方が「（伊藤さんと）根本さん、合うんじゃないの？」って言ってくださることがよくあったので、「いずれお仕事したいな」と思っていました。なので、今回一緒にできたことはすごく嬉しかったです。

 

――実際に稽古が始まってどれくらい経ちましたか？

3週間です。もう結構、中盤に入ってます。

 

 

――始めてみていかがですか？

私が今までやってきた舞台は、始まったら気持ちのスイッチを切り替えて、声を張って……という感じのものが多くて、もちろんそれが基本なのかもしれないけど、根本さんの舞台はそういう事よりも“自然体であること”を一番優先してくれるんです。自分にとってはやりやすいし、好きですね。これまでも根本さんのそういうリアル感のある舞台を観てきたから、今までやったことはなかったけど、「私がやりたかったものだ！」って稽古中も思いながらやっています。

 

――伊藤さんが演じる「篠崎」はどういう役柄なんですか？

スーパーマーケットの裏側が舞台で、そこでバイトしてるハタチの女の子です。その中で恋愛もあったりして……。登場人物たちは全員いろんなところでこじれていて、そんなこじれてる関係性がすごく密に描かれています。

 

――「篠崎」のキャラクターは伊藤さんのリアルが出せる感じですか？

はじめはわからなかったんですけど、稽古をやっていくうちに「篠崎って私に本当にそっくりなんだな」って思いました。ほかのキャストさんもみんな「もともとそういう人なのかな」って思うぐらいそれぞれの役にそっくりで……根本さんはそれを見抜いているのかなって思える。特に私はどんどん篠崎に寄ってきていて、篠崎役に私を選んでくれた根本さんの観察力はすごいんだなと思いました。

 

 

甘えたいけど、素直に甘えるとかやだけど、甘えたい

 

――篠崎はどんな性格なんですか？

すごく素直です。思っていることがすぐ顔に出ちゃう。ただ、すごく素直だけど目上の人や先輩に対してはあんまり強く言えなくて、思いを内に秘めてしまう。でも唯一仲がいい「くすみ」っていう同じハタチの女の子にだけ話せるんです。今どきの女の子の中にもそういう子って多いのかなと思います。SNSに頼りそうな感じの子ですね。

 

――伊藤さんご自身にも、そういうところはありますか？

私も顔に出ます。素直なところは似ていますね。思ったことを言わないけど、顔に出ちゃうタイプかなって。あと、恋愛面に関しても、もし私が恋愛したらきっと篠崎みたいな感じなんだろうなって思います。付き合っている小笠原っていう店長とのやり取りでも、ツンデレって言うんですか？ 「甘えたいけど、素直に甘えるとかやだけど、甘えたい」とかそういうのを行き来する感じ。

 

――豪華キャストですが、清 竜人さんとは今までに共演したことはありますか？

みなさん共演したことなくて。初めてです。

 

 

――現場はどんな雰囲気なんですか？

みんながこの脚本に愛情を持っていることが伝わってきます。そのせいか稽古の段階でグルーブ感が出ている気がする。舞台をたくさんやられてる大先輩がたくさんいるので、そんな雰囲気が自然と生まれてて、すごく素敵だなっていつも思います。自然な流れでアドバイスし合うようなやり取りになったりするのが素敵だなって。
それぞれが「ここをこうやったら面白そう」みたいな提案を自分の中から引き出してやってらっしゃるから、「すごい！ そんな仕掛けをしてくるんだ！ だったら私ももっとやりたいな」って思ったりする、そういう相乗効果もあったり。

 

――特によくお話しするのは誰ですか？

今井隆文さんが隣にいらっしゃることが多いので、よく話します。

 

――どんな会話をするんですか？

懇親会もあったのでいろいろお話ししましたが、アイドルって大変だった？ とか、たわいもない内容も多いですね。一緒にやってて楽しいって思ってくれてる感じがしてうれしく思います。

 

インタビュー後半はこちら

根本宗子さんとの対談記事は12月6日20時公開！

 

舞台『月刊「根本宗子」 今、出来る、精一杯。』
作／演出：根本宗子
音楽：清 竜人
出演：清竜人・坂井真紀・伊藤万理華・根本宗子ほか
公演日程：2019年12月13日（金）〜19日（木）
公演場所：新国立劇場 中劇場
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伊藤万理華（いとう・まりか）
1996年2月20日生まれ。2011年に乃木坂46に1期生メンバーとして加入。2017年にグループを卒業後、2017年12月ソロ活動を開始。女優業のほか、ファッション・アート・映像などを融合させた個展を開催するなど多方面で活躍中。

 

 

Photo_Erika Iida