現役東大生!ホテルプロデューサー龍崎翔子が”バイブス”を大切にするワケ
【PROFILE】1996年生まれ、京都出身。株式会社L&Gグローバルビジネス代表取締役。東京大学経済学部在学。19歳のとき母親と会社設立、富良野のペンションを購入して『petit-hotel #MELON富良野』を開業し、今では5つものホテルのプロデューサーに。インスタアカウント@shokoryuzaki
―― 偶然、先週妹が「HOTEL SHE, KYOTO」 に泊まっていて。LINEで「いま可愛いホテルに泊まってる!」ってオシャレな写真が送られてきて、龍崎さんのホテルだ!とびっくりしていたところでした。
龍崎さん:嬉しいです! そう、写真が撮りやすいように工夫しているんですよ。いい感じのお店に行った時に、どうしても写真を素敵に撮れなくて断念することってよくあるし、残念な体験だと思うんですよね。なので、私たちのホテルは誰が撮っても素敵な写真になるように空間を設計してもらっています。
例えば、構造上どうしても必要だったホテルエントランスの壁は、お客さんが自分の旅先でのスタイリングを撮りやすいうなデザインにしたり。旅行のときって、お洋服もこだわったりされますよね、だからそこで写真を撮ってくださる方は多いですね。
声を張らなくてもちゃんと私たちのホテルが広がっていく、それも、自分たちと相性のいいお客さんの間にSNSを通じて広がっていく宿泊体験を設計することが私たちのこだわりです。
―― InstagramやTwitterにも、みんなおしゃれな写真をUPしてくれていますよね。
龍崎さん:私個人が以前めちゃめちゃツイッターをやっていて、いろいろ観察していたのが原点かもしれません。満足度の高い体験をした時に、それがどうよかったかを言語化するのってすごく難しいと思うんです。例えばお気に入りの宿があったとしても、それを他の人に自分がいいと思っているのと同じレベルで伝えるって難しいですよね。
基本的には空間がすごいよかったとか、食事が美味しいとか、オーナーがよかったとか。そういうありきたりなエピソードになっちゃって、コミュニケーションとして面白くならないんですよ。なので、ホテルの魅力をツイッターの140字にまとめてもらいやすいよう設計するのが大事。
140字と写真4枚で、このホテルの良さをいかにお客さんに要約してもらうか。言語化しやすい・視覚化しやすい特徴があると、それがたとえお客様がこのホテルに満足感を感じていただいた本質的な要因ではなくても、SNSなどで発信したり、友達にオススメしたりしていただきやすくなるのかなと思っています。
お客様の楽しかった!という気持ちをアウトプットしやすい仕掛けがあれば、タイムラインに流れてくるようになるし、それを見ている人は気になれば保存するし…という流れがあるなってユーザーとして観察して思っていて。
それでHOTELSHE,OSAKAを作るときには、プレスリリースの見出しから考えたんですよ(笑)。ファッションスナップとかにのせてもらったときにどういう見出しで紹介されるんだろう?って考えながら、ホテルをディレクションしました。
SHE,OSAKAはホテル全体のコンセプトを象徴するかたちで、全室にレコードプレーヤーが入ってるんですけど、それがあるせいか「全室にレコートプレーヤーがあるホテル」として取り上げていただいたり、SNSで紹介していただけたりすることが多いですね。
バイブスが合うこと、が何より大事。
―― ホームページも、いい意味でホテルっぽくなくて カッコいいです。いっしょに働いている社員の方も、基 本的に異業種から採用されているんですよね?
龍崎さん:そうですね。いろいろ理由はあるんですけど、例えば、『HOTELSHE,OSAKA』のキービジュアルに、モデルのるうこさんを起用させてもらったんです。竣工後のホテルの客室ではなく、ホテルの工事現場でイメージヴィジュアルを撮影して配信したんですけど、それがホテル業界的には革新的だったらしいんです。
―― たしかに見たことないかもしれません。
龍崎さん:でもそれってアパレルだったら当たり前にやっていることですよね。それがホテル業界だと新しい!ってことになるのがよくあるので。人材の交流が他の業界と行われてきていない分、他の業界の人を連れてきた方が面白いのかなっていうのはあります。
ホテル業界出身だから特別いいということもそんなになくて、ホテル業で求められるスキルって誰しも当たり前に求められるスキルの方が多いので。その人のバイブスが合っているかどうかの方が、私にとっては大事だったりします。
―― 龍崎さんのインスタを見ていると、バイブスが… って言葉をよく目にしますが、バイブスをわかりやすく言うとどういうことですか?
龍崎さん:マインド、精神性…ですね。私たちは世界観を大事にしている会社なので、採用する時点でこの人が世界観を濃くする人なのか、薄める人なのかをジャッジしています。だからめちゃくちゃスペック高いし、このスキルがある人が今すごく欲しいんだけど、この人が入ると会社のカルチャーが薄くなっちゃいそうだよねってときは採用しません。
コミュニケーションは、 告白するくらいの勇気で。
―― 社員が約 30 人もいて、コミュニケーションはどう されてますか?
龍崎さん:みんな勤務地がバラバラなので、いつもSlackなどのツールやテレカンでコミュニケーション取ることが多いです。直接顔を見て話せない分、絵文字やちょっとしたリアクションなどで自分の感情や相手へのリスペクトを伝えることを心がけています。
そうは言っても、ちょっとでも誤解やすれ違い、わだかまりがあるなって気づいたときは、捕まえて直接話したりすることはよくありますね。自分が思っていることを誠実に伝えることで、腹落ちしてもらえることがあるので、小学生が告白をするときみたいな勇気がいるんですけど(笑)、そこは乗り越えて面と向かって自分の思いを伝えています。
【ロケをしたのは】
ONSEN RYOKAN 由縁 新宿▷▷▷「いち宿泊客として、すごく素敵だなと思っていて! ホテルの快適性や機能性を持ちながら、旅館としての宿泊体験もできるんです」(龍崎さん)
【次回予告】
「バイブス」を大切に、ホテルプロデュースをしている龍崎さん。次から次へと新しいホテルを生み出す龍崎さんに、夢を叶える方法を語っていただきます。
撮影/佐々木大輔 ヘアメーク/Ryo(ROI) 取材/広田香奈 編集/小林麻衣子 ※掲載の情報はJJ12月号を再構成したものです。