「わざわざ来ていただいて」は正しくない!? 仕事で好感度を上げる日本語3選
ビジネスシーンにおいて“好感度”はとても重要なものです。なぜなら、好感度が高い相手には、自然と「この人ともっと仕事がしたい」、「この人に仕事を任せたい」などと感じるもの。好感度がそのまま仕事につながるケースもあるのです。
“正しい言葉遣いを覚える”のは、好感度を上げるために今すぐできることのひとつ。言葉一つで、人の印象は大きく変わるものなのです。
そこで今回は、覚えておくと使える、“ビジネスで好感度を上げる日本語”をご紹介します。
1.「お名刺を頂戴できますか?」
受付といえば、会社の“顔”ともいえるとても大切な役割。それだけに、好印象を与えるような言葉遣いをしたいものですが……。
ありがちなのが、受付で名刺を預かる時。つい「恐れ入りますが、名刺を頂戴できますか?」と言ってしまう人が意外と少なくありません。しかし、これでは受付の対応として行き届いたものとは言えないでしょう。
なぜなら、名刺を「頂戴する」のは受付する人ではなく、訪問者と面会する人間だからです。この場合は「恐れ入りますが、名刺をお預かりできますか?」と言うのが良いでしょう。
また、もし相手の名前が読めない時は「お名前はどのように(なんと)お読みしたらよろしいのでしょうか?」、さらに読み方が複数ある場合は「○○様とお読みしてよろしいのでしょうか?」と聞くことで、相手も不快な思いをせずに訂正できるはずです。
2.「資料を揃えさせます」
打ち合わせの途中など、何かの都合で新たに資料が必要になった時。部下に指示を出すと同時に、お客様に対しても“部下が資料を準備する”ことを伝える必要があります。
しかし、そこで「今すぐ資料を揃えさせます」と言ってしまうと、お客様の好感度は下がってしまうかもしれません。「揃えさせる」という表現が、日ごろから部下に対して尊大な態度をとっているように感じさせてしまうのです。
この場合、あえて“部下がやる”ことを強調する必要はなく「今すぐ資料を用意いたします」と伝えればOK。そのほか「お茶を入れさせます」→「お茶をお入れします」、「(書類を)持って行かせます」→「(書類を)お持ちいたします」で何ら問題はありません。
3.「わざわざ来ていただいて」
相手が遠くから会いに来てくれた時、どんなねぎらいの言葉をかけていますか? 意外とよく聞く「わざわざ来ていただいて……」ですが、この言い回しだと“来てくれたことへの感謝”は伝わるものの“遠くから来ていることへの心遣い”までは感じられないでしょう。
こうした時のねぎらいの言葉で、定番といえば「遠いところをご足労いただきまして、ありがとうございます」です。または「お運びいただきまして」や「お越しいただきまして」と言うのも良いでしょう。
また「お暑い(お寒い)なか~」「足下のお悪いところを~」など、季節や天候に応じて言葉を添えられると、より丁寧に迎えているような印象になりますよ。
「周りの人たちと円滑に仕事がしたい」と思ったら、まず気を付けたいのが言葉遣いです。立場や状況に応じて、適切な日本語を使える人は、周囲に「しっかりした人だな」と信頼感を与え、好印象をもたれるでしょう。
まずは今回ご紹介した日本語スムーズに出てくるように意識してみてくださいね!
参考文献
本郷陽二『正しい敬語の使い方』(日本文芸社)
文/大内千明 画像/Shutterstock(aijiro、Jacob Lund、G-Stock Studio)