「難民」が日本にこんなにいる現実を知っていましたか?
「私たちのCHALLENGE STORY」を担当しているライターの孫 理奈です。
今月号のテーマは毎年恒例の戦争。今年のタイトルは「戦争にNO!を言うのは、私たち母親世代の役目です」です。今回は国内で難民の支援活動をしている石川さんと、主にパレスチナやシリアの難民を支援している松田さん2人を取材した裏話を書きたいと思います。
上の写真はレバノンの難民キャンプ。レバノンは人口の約4人に1人が難民です。難民キャンプは70年以上が経過し、ひと部屋4畳半ほど。頭上には電線が垂れ下がり、感電事故が後を絶たない劣悪な環境です。
石川さんは「NPO法人難民支援協会」の代表理事をしています。難民と聞いて、「どこか遠い国の人たち」という認識しかなかった私は、「こちらの事務所には1日平均約15人の難民の方が訪れます」と聞きビックリしました。今はコンビニでも外国人の店員が増え、国内のどこにいても外国人が増えている実感はありましたが、難民の方がそんなにいたとは知りませんでした。’18年には約1万人が日本に難民申請を行い、難民認定されたのはたった42人という厳しい現実。「NPO法人難民支援協会」は、戦争で人生が一変し、なけなしのお金を工面して日本に逃げてきた方へ、支援が不自由分な状態で生き抜くための法律面、生活面での支援をしています。『海を渡った故郷の味』という料理本が事務所にありました。これは戦争や紛争で迫害を受けて日本に辿り着いた難民の方々の故郷の味を再現したレシピ本で、掲載された料理は今や全国35の大学、高校の学食で提供されているそう。かつて家族で食卓を囲み、この料理を食べながら楽しく過ごした平和な時間が、難民の方々にはあったはず。そんな日常が戦争で一気に当たり前ではなくなってしまう事実に、私たちも「いつか戦争に巻き込まれるかも」いう考えを持たないといけないと思いました。簡単で美味しそうなレシピがたくさん載っているので、興味のある方にはぜひ読んでもらいたいです。
「NPO法人難民支援協会」
https://www.refugee.or.jp/
「NPOパレスチナ子どものキャンペーン」の職員の松田さんは、パレスチナやシリアの難民に保健医療や教育などの支援をしています。何の罪もない多くの子ども達がそこに生まれただけで戦争に巻き込まれ、一生心に残る傷を背負わされています。3世代に及ぶ長い難民生活の中で受け継がれている「パレスチナ刺繍」の作品の数々が事務所にありました。繊細なクロスステッチと美しい色合いに惹かれ、思わずいくつか購入。「この刺繍はパレスチナ人としての誇りなの」と女性が言っていた言葉に、今は普通に過ごしているけれど、ある日突然、日本から逃げなければいけない戦争が起きたら、「日本人としての誇りなの」とどこかで言うときが私たちにも来るかもしれない……。そんな危機感を感じて、戦争を止めることをこれからも考えていきたいと思いました。パレスチナ刺繍は彼女たちの癒しであり、大切な収入源です。買うだけでも支援になるので、こちらも関心のある方は手にしてくださいね。
「NPOパレスチナ子どものキャンペーン」
https://ccp-ngo.jp/
「難民支援協会」を夏休みの自由研究として調べる題材に選ぶ子どももいるそう。子どもが戦争について関心を示すよう導くのも親の役目ですよね。お2人に取材して思ったことは、まずは「知る」ことが大切。私が難民の方が日本にこんなにいることを知らなかったことも、ニュースをどこかの国の出来事としか捉えていなかったからだと反省しました。自分の中の関心のスイッチを押すことで、情報の入り方が変わることを教えてもらった取材でした。
撮影/BOCO(レシピ本とパレスチナ刺繍)